あるきメデス

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春の北陸路の旅③ 日本一の木彫の町 井波を訪ねる(富山・南砺)〈後半〉

2018-05-30 22:17:31 | 国内旅行
 2018年5月11日(金) 〈続き〉

 八日町通りにある蕎麦懐石の松屋で食事を終えて再び交通広場に入り、観光案内所で井
波関連のパンフレットを幾つかもらう。

 帰りに予定したバスは13時16分だが、お勧めという彫刻総合会館まで往復する時間
が無い。次の16時14分発のバスで帰ることにして、彫刻総合会館に向かう。






 八日町通りを次の交差点まで進んで左折し、住宅地を抜ける路地を進む。家並みの間か
ら北西に、残雪の山並みが望まれた。


 さらに進むと交差点際に「安政義人慰霊之碑」が立ち、「義人長崎茂右エ門磔之地」碑
もあるが、どのような人かの説明はない。その横には2基の古い石仏も並んでいた。
      


  

 穂の出始めた麦畑の横を進んで緩斜面を上がり、井波の町並みを囲む環状1号線の南東
部、北川交差点の北東側一帯に、「井波彫刻総合会館」と「道の駅 木彫りの里創遊館」
がある。
     
 

 駐車場の隅にある木彫の大きな七福神像を見ながら奥に進み、まずは井波彫刻総合会館
へ(入館料500円)。



 館前にも、木彫の大きなおひな様や龍、風神、世界最大という幅11m、高さ1mでク
ス製の井波彫刻欄間「十二支の図」などが目に入る。
     



 入館して、瑞泉寺の伽藍(がらん)配置をモデルにしたという館内の展示室を巡る。木
彫品は欄間や衝立(ついたて)、パネル、獅子頭、天神様、現代の彫刻や工芸品など多彩
で、クス、ケヤキ、桐などを原料として250年を超える伝統ある井波彫刻の粋を集めた、
200点を超える作品の数々を鑑賞した。作品は直売しており、数万円から1千万円を超
えるものまである。

 館内には、荒削りから仕上げまでに用いる200本以上のノミと彫刻刀も並んでいた
(館内撮影禁止)。

 観覧を終え、南西側斜面にある「芸術の森イヴェント広場」と呼ぶ広い芝生地で休憩す
る。ここにも木彫りの彫刻作品が何点か展示されている。




 東側には4棟の「匠工房」があり、各々に木彫の工房が設けられていたが、観覧は省く。



 最後に「道の駅 いなみ木彫りの里創遊館」に入り、売店に並ぶ数々の木彫品や地元産
品などを見た。







 北川交差点から細道を南西に下り、大門川河川公園に行く。


     
 カーブする大門川沿いの公園では、4年に一度、「いなみ国際木彫刻キャンプ」が開か
れるようで、園内には作品のいくつかが残されている。
          

     


 下流の池から上流の滝まで、園路を往復してきれいなせせらぎなどの間を巡る。流れの
南側斜面では、白フジがたくさん花を見せる。
     

          
 この斜面上一帯は井波城址で、明徳元(1390)年に瑞泉寺が創設された場所とか。

 文明13(1481)年には一向一揆の拠点になったが、天正9(1581)年に佐々
成政(ささなりまさ)に攻められて井波城となり、やがて前田利家の手で落城しという。
現在は古城公園になり、井波八幡宮や招魂社などがあるようだ。

 城址下を南西に少しで、その古城公園に上がる。うっそうと茂る樹林に「松島大杉」と
呼ぶ杉の古木が立っていた。幹が一本立ちのスギでは県内十指に入る大杉のようで、幹回
り7.6m、樹高40.4mあり、推定樹齢は450~530年という。
     

          
 大杉の横を上がった広い緑地に神武天皇かと思われる銅像が立ち、奥に招魂社が祭られ
ている。



 道路を挟んで南側の金城寺には「なでぼとけ」の相性で信仰を集めているという「おび
んずるさま」が祭られていた。
         


 城跡らしい石垣があり、その間の小さい門を入ると「臼浪水(きゅうろうすい)」と呼
ぶ井戸があった。

 瑞泉寺を開創した棹如上人が京都へ向かう途中、乗っていた馬の足かきにより湧き出た
といわれ、「井波」の地名や瑞泉寺発祥の地とされるところとか。

 天保年間には小庵と庭園も築かれ、歴史ある風情に多くの文人墨客が足跡を残したとい
う。奥には平成5(2003)年に再建した仏堂がある。


 その先の石段を上がり、井波城本丸跡に建てられた井波八幡宮に参拝する。


 本殿西側の高みには、文久元(1861)年に地元蚕業者がカイコの霊をともらうため
に建立した蚕堂(かいこどう)がある。

 総ケヤキ造りの一間社切妻造(いっけんしゃきりづまづくり)で、特色ある神社の小堂
構造のようだが、覆屋の中なのでよく見られないのが残念だ。

 鳥居の横には、南砺市の「巨木・名木100選」のひとつ、八幡宮の大杉が目につく。
     


 神社を出て西に少しで井波城の石垣が残り、瑞泉寺の山門前に出た。


 再び八日町通りの家並みを眺めながら北西に下る。途中「池波正太郎ふれあい館」があ
るが、残り時間が足りず入館は省く。15時50分に交通広場に戻った。


 16時14分発高岡駅前行きバスに乗り、17時16分に新高岡駅に着いた。急ぎ17
時24分発北陸新幹線富山行きつるぎ720号に乗る。
    



 富山駅で18時15分発かがやき514号に乗り継ぎ、東京駅には20時3分に着く。
自宅には22時ちょうどに帰宅した。

(天気 快晴、距離 3.5㎞、地図 井波散策MAP(2万5千分の1 城端)、
 歩行地 富山県南砺市)


 ちなみに、4日後の5月15日の朝日新聞夕刊〈アートトリップ〉コーナーに、「雲水
一疋龍」と題する井波の木彫りの技などの記事が掲載された。
   

 さらに5月24日(木)には文化庁が、地域の文化の魅力をストーリー仕立てで発信す
る「日本遺産」に、「宮大工の鑿(のみ)一丁から生まれた彫刻美術館・井波」が認定さ
れた。




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コメント (2)
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