愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

からだの初期化を試みよう16 アローン操体法 第二部 弾性ストレッチン(5)

2015-10-17 16:14:57 | 体操法
IIE 下半身の強化

IIE-1 殿筋の弾性ストレッチング
両脚を肩幅に開いた姿勢から、左足体重で右足をやや斜めに開きます(写真IIE-1)。勢いをつけて右脚の膝を対側の肩を目がけて曲げるとともに、両手で膝を抱えて、さらに対側の肩方向へ引き上げます(写真IIE-2)。この動作を4回(4点呼)繰り返します。

写真IIE-1 写真IIE-2

同じ要領で左脚についても行います。両脚交互に4回(4点呼)ずつ、2回繰り返します。

IIE-2 アキレス腱の弾性ストレッチング
直立姿勢から、両手はそれぞれ腰に当て、右足を膝は伸ばしたまま後方にやり、足の球部を床面につけます(写真IIE-3)。そこを支点にして、全身で反動をつけて4回(4点呼)踵を床の方に押し込み、床にぶっつけるようにします(写真IIE-4)。

写真II-3 写真IIE-4

右左の足を交互に4回(4点呼)ずつ、2回繰り返します。

IIE-3 脚・腰の屈伸
両足を肩幅に開いて立ち、両手の指を交互に組み合わせて、肩の高さに挙げます。この姿勢から、腰を真下に落とし、ついで腰をやや浮かす動作を、両手を上下させることにより勢いをつけて2回(2点呼 1, 2)行います(写真IIE-5)。続いて立ち上がり、両手で勢いをつけて上体を後方にそらす動作を2回(2点呼 3, 4)行います(写真IIE-6)。

写真IIE-5 写真II-E6

これら反動をつけた動作を2~4回繰り返します。

IIE-4 ハムストリングス筋腱・アキレス腱の弾性ストレッチング
両足を広めに開き、両手はそれぞれ大腿の付け根に当てます。左脚の膝をやや曲げて、体重を少々左足に移します(写真IIE-7)。体重をさらに左に移し、右手で押し込みながら、腰を左側に落として行き、一方右足の足先を強く反らすようにします(写真IIE-8)。この動作を4回(4点呼)行います。

写真IIE-7 写真IIE-8

同じ要領で反対側の脚についても行い、右左交互に4点呼ずつ、2回繰り返します。

[解説]
殿筋の弾性ストレッチング(IIE-1)では、膝を挙げる方向が重要です。無造作に膝を横殴りにするとか、ただ手前に引き上げるということではなく、反対側の肩を目がけて、斜め上に引き挙げること。これは骨盤後方にある比較的大きな筋、大殿筋や梨状筋などが走行する方向と概ね平行した方向に近いからです。

反動をつけた弾性ストレッチング運動を行うに当たっては、いずれの運動においても、次の点を念頭に置いておくことが重要です。

筋、腱や靭帯には、体位の変化を常に感知して、脳に情報を送り、姿勢を適切に保つよう働く“サーモスタット”の役割を果たす組織(“固有受容器”と呼ばれている)があります。この“サーモスタット”は、身体の急な動きや変化(例:弾性ストレッチング)に対して強く作動しますが、ゆっくりとした、緩やかな動きや変化(例:静的ストレッチング)に対してはほとんど反応しません。

例えば、関節を急に曲げたとすると、伸ばされた側では“サーモスタット”の働きを通じて、伸ばされた筋を収縮させるような反射機構が働きます。電車で座席に座り、軽い振動に揺られて、気持ちよくウトウトっとして頭部が前に急に倒れると、ハッと目覚めて無意識に頭を挙げます。それは首の後ろの筋が反射的に収縮した結果です。よく見かける情景で、“サーモスタット”機構が機能している証拠です。

日常の活動状態では、“サーモスタット”は、筋や腱が短く、硬い状態でセットされていると考えてよいでしょう。その状態で急に筋が伸ばされたとすると、伸ばされた筋は反射的に収縮して、腱への引っ張る力が倍加することになります。走るなどの激しい運動を急に行うと、特にアキレス腱などの腱への負担が大きくなり、さらに体重を支える負荷も加わり、腱の断裂などの傷害を起こすことにつながります。アキレス腱断裂などでよく耳にするところです。

体の筋や腱などをゆっくりと伸長することにより、リラックスした状態にリセットします。そこで“サーモスタット”が機能しても筋群などが柔軟に対応できる状態にすることが重要と言えます。静的ストレッチングを行う意義はそこにあります。理想的には、全身くまなく行き届くような静的ストレッチングを行うならば、続くいかなる運動にも対処できるよう、からだの状態をリセットすることができるのではないか と考えています。アローン操体法での静的ストレッチングの目指すところです。

本稿の運動の中で、脚・腰の屈伸運動(IIE-3)、特に、立位から腰を真下に落とし、両手を上下させ、勢いをつけてバウンドさせる運動は、解説を要する。腰を落とし、続いて腰を浮かせる動作では、上体においては背中から腰の、また脚部においては大腿と向こう脛の前側の筋群に反射的な収縮を起こすことにつながり、また慣性に逆らって体重を支えながら腰を浮かすことになります。したがって脚前部の運動組織、さらには膝関節への負担が非常に大きくなります。

弾性ストレッチング運動は、必ず前もって静的ストレッチングを行い、全身の緊張をほぐした後に行うよう注意を促している所以です。

一方、負担が大きいことは関わる運動組織を鍛錬することを意味します。したがって、負担を掛ける負の方向と、鍛錬という正の方向の効果を念頭に置きながら、体調に合わせて、注意しながら進めていくことが大事と言えます。[アローン操体法 第2部完]
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