愉しむ漢詩

漢詩をあるテーマ、例えば、”お酒”で切って読んでいく。又は作るのに挑戦する。”愉しむ漢詩”を目指します。

閑話休題26 漢詩を読む 賀正

2017-01-01 10:25:41 | 漢詩を読む
神戸市南京街 撮影 2015.2.20 春節

賀正 平成29 (2017) 年元旦

昨'16 (平成28) 年末、日本のお祭り(33件)‘山、鉾、屋台行事’が無形文化財としてユネスコに登録されました。

秋の収穫に感謝、無病息災の祈願、御先祖を祀る等々、各地にはなお多くの伝統行事があります。お祭りに接する度に、歌い、踊りまた跳ね、遊んだ子供の頃が思い出され心豊かになります。

 次の漢詩は、約1,000年前、王安石作の『元日』と題する詩です。お隣中国の元日の様子を詠っています。爆竹を鳴らして新年を祝う風習は今に生きています。ただ屠蘇を頂く風習は無くなっていると聞いていますが。

桃符は、魔よけの力があるとされる桃の木の板にめでたい意味の語句を書いた赤い紙をはって、門の両側に下げるもので、春聯と呼ばれているようです。我が国の門松に相当するものでしょう。ただ、門松は、年神を迎えるという意味を込めている様なので、その趣旨は少し異なるようですが。

 何はともあれ、伝統行事は大事に育み、続く世代へと伝えていきたいものです。

元日  王安石 (1021~1085)

爆竹聲中一歳除  爆竹(バクチク)声中(セイチュウ) 一歳除(ジョ)す
春風送暖入屠蘇  春風 暖(ダン)を送って 屠蘇(トソ)に入る
千門萬戸曈曈日  千門萬戸(センモンバンコ) 曈曈(トウトウ)たる日
争挿新桃換舊符  争って挿す新桃(シントウ) 旧符(キュウフ)に換(カ)えて
 注:聲=声;萬=万;舊=旧

現代訳
爆竹の音が賑やかに鳴り響く中一年が終わり、
暖かい春風が屠蘇の中に吹き込む。
多くの家々では 初日を迎える頃、
古い守札を取り去り、新しい桃の木の守札に取り換える。

[註]
曈曈(トウトウ): 見慣れない漢字です。蛇足ながらちょっと解説(?)します。
旁の“童”の意は、子供、児童。偏に、
“日”では、通常“曈曈”として用いて、‘太陽が出てだんだん明るくなるさま。
“月”では、(当方PCの辞書にはない)やはり重ねて、‘薄暗いさま’。
“目”では、‘ひとみ’。
漢字の成り立ちを想像させて面白いので追記しました。

コメント
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