著者たちは、本書で、トヨタの強みとしてプロセスのハードウェアの背景にある「ソフトウェア」に部分に着目しています。
その源の多くは創業期の経営者たちが抱いていていた「価値観」に遡ります。
(p120より引用) 合理的な手順を支える価値観や信念は実験のソフトウェアであり、そのルーツはトヨタの創業者たちにある。・・・トヨタに根づいている五つの価値観・・・とは、①思い切って行動する、②失敗を許容する、③正直であれ、④良いことをする、⑤決してあきらめない、だ。
そのなかで「正直であれ」についてもう少しご紹介します。
「正直であれ」とは、人間の犯す過ちを当然のことと考え、それをプラスに転換するために顕在化させようとの姿勢だと思います。
(p123より引用) トヨタの仕事文化で独特なのは、問題の存在を認め、それを可視化し、それを改善のチャンスととらえ、根本原因を見極め、長い間に問題が再発するのを防ぐための対策を講じるよう、社員に促している点だ。この文化は同時に、あやまつは人の常という観念を受け入れている。人間は失敗もするし、弱点や限界もある。これらの限界に対する最も建設的な方法は、社員に間違いや弱点を正直に認めるように促すことだと、トヨタはみいだしたのだ。
これら脈々と受け継がれる価値観は、トヨタの「企業文化」のひとつである「行動中心主義」を下支えしています。
(p248より引用) 行動重視は、トヨタの典型的な企業文化である。「トヨタウェイ2001」は、現地現物に関する部分で次のように説明している。「周到な実務家を自認し、環境変化に対しまずは試行(暫定版)を実施する。いたずらに『議論』に時間を空費したり、『戦略』という言葉を振りかざし、軽率に賭けに出たりすることはしない」・・・
行動を起こすことの重要性は、「六割いいと思ったらやれ」「何もしないより何かやって失敗したほうがいい」というような言い方で、代々受け継がれている。
「結果」よりも「プロセス」を重視する考え方です。
そして、「プロセス」を定着化するためには、「人的な継続性」が重要な意味をもつとのスタンスです。「知識」は、人が創造し、人に蓄積されるからです。
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