著者たちが指摘している2つのベクトルのうちのひとつが「拡張力」です。
これは、「不可能な目標」「実験主義」「現地顧客対応」という3つの力に特徴づけられます。
そのなかで、「実験主義」についての解説です。
(p98より引用) 実験は、正しいかどうか確証のない仮説を検証する方法であり、それを通じて成功だけでなく失敗からも学ぶことが可能だ。実験を通じてトヨタは何がうまくいき何がうまくいかないのかを学び、顧客や技術に関する知識を得て、新たなプロセスや仕事のやり方を創り出し、それが、トヨタが発見の旅を続ける助けとなる。
ここでの特徴は、「まずやってみる」という姿勢、「やってみた結果、成功も失敗も同等に学びとして知識化していこう」とする姿勢にあります。
実験は、トヨタの日常業務として根づいている改善プロセスの一環です。トヨタでは、社員一人ひとりの「問題解決能力」の習得・向上に非常な重きをおいています。
問題解決の具体的なプロセスとしては「TBP」が紹介されています。
(p104より引用) トヨタ・ビジネス・プラクティス(TBP)といわれる八ステップのプロセスは、社員が必要な問題解決能力を身につけるうえで役立つ。・・・
- 問題を明確にする
- 問題をブレークダウン(細かく分解)する
- 達成目標を決める
- 真因を考え抜く
- 対策を立てる
- 対策をやり抜く
- 結果とプロセスを評価する
- 成功したプロセスを定着させる
真因を「考え抜く」、対策を「やり抜く」といった表現にトヨタらしい真摯な愚直さ・粘り強さが表れています。
(p106より引用) 深く考え、でも、小さく行動し、慎重な一歩を踏み出し、決してあきらめないのが、不可能な任務いわば「ミッション・インポシブル」を実現する一番現実的な方法であるのをトヨタは突き止めたのだった。
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