前回に続いて小林秀雄氏の「考えるヒント」からのご紹介です。
今回は、「プルターク英雄伝」の冒頭で語られている「読書」についてです。
(p111より引用) 相も変らぬ雑読漫読の習慣は、身について了ったが、読書の楽しみは変って来る。それも、その変り方には、年齢に深く結ばれた、何か本質的なものがあるように感じられる。
1冊1冊、それぞれの本の性格によって、その付き合い方を変えていくのです。
(p112より引用) 私達がこういう古典的リアリズムを物足らなく思うのも、現代人の贅沢なリアリズムに慣れ切っている、いや、恐らくこれと馴れ合っているが為だ。精到なリアリズムを誇る現代文学も、少し読書の工夫をして読めば、刺戟的な挑発的な迎合的な一種のスタイルと映ずる事もある。
読者に迎合するところのない古典的リアリズム作品もそうとして読めば、そういう作品と付き合う楽しみを感じることができると語ります。
(p113より引用) 読書の楽しみは、精神的な楽しみであるから、耳目の邪魔は這入らぬ方がよい。
プルタルコスの記述は、飾り気のない理詰めのスタイルだったそうです。情景描写には不向きなその文体も、小林氏は、却って読者の想像力を動かすという意味でプラスの評価をくだしています。
翻って、私の読書。典型的な乱読です。ジャンルにも作者にもこだわりはありません。
強いて好みはというと「密度の濃いものが好き」ということになるでしょうか。徒に同じ内容が繰り返されるのは辟易しますし、同じことを伝えるならより短いフレーズが望ましいと感じます。
このあたりは、正に自分にないものを求めているということでしょう。私の話はどうにも冗長でくどいのです。いつも直そうとしているのですが・・・。
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