1970年代から80年代にかけての手塚治虫氏の対談集です。
その相手は、小松左京・種村季弘・萩尾望都・鶴見俊輔・立川談志・牧美也子・巌谷国士そして息子さんの手塚真の各氏です。
対談の主な話題はやはり漫画論ですが、哲学者の鶴見俊輔氏や仏文学者の種村季弘氏・巌谷国士氏らとのやりとりには驚きを感じました。対談相手の方々は漫画についてそもそも造詣が深いのですが、それに対する手塚氏も負けず劣らず文学的・哲学的な議論を交わしていました。
もちろん、多くの漫画家の方々についてのコメントも登場します。
私はほとんど漫画は読まないので、話題になっている漫画家の方々の8割方は知らないのですが、中には、さいとう・たかを、白土三平、水木しげる・・・といった私でも知っている有名な漫画家の方々も顔を出します。
その中からひとりご紹介します。
赤塚不二夫さんについてです。
(p224より引用) 巌谷 でも、赤塚不二夫はどうなんですか?
手塚 あの人はねえ、惜しいんです。つまり彼の人生では、描くということは二次的でね。あれは発表の一つの場としてマンガを使ったけど、彼の本質はそうじゃなかったんじゃないかって気がするんです。つまり彼のメッセージの手段はもっと漠然としたもんだと思うんですね。つまり彼は、諷刺精神の鬼なのでね。・・・道化がたまたまマンガでシナリオを書いてみたんだけど、もうガマンならなくて自分で出てって、ステージの上で始めたという感じがするわけです。あれが彼の人生なんですね。
今から20年以上前、1983年の巌谷国士氏との対談のなかでの手塚氏のコメントでした。
手塚治虫対談集―続「虫られっ話」 価格:¥ 1,325(税込) 発売日:1995-02 |
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