せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

文字に現れる心の状態。気を整えれば、達筆に 〜 with コロナの暮らし02 書道で気と心を整える。〜

2021年01月19日 | withコロナ新生活様式


先のブログの続きです。

5)気を整えるために「書」を活用する

を、自分事例と、エピソードをもとに綴ります。

今年、建主様のお母様から頂いた
賀状の筆使いが、あまりにも達筆で
一部、写真で掲載させていただきます。

こちらの文字には、
エピソードがありました。

ただ、「美しいわね」
では、終わりではありません。

この方は、熊本地震で被災された方で
ご自宅が全壊。

自力解体され、ご相談があった時には
敷地は更地でした。

高齢だし、もう自宅再建はできないだろうと
諦められ、仮住まい代わりに、
仕事場の一角で寝泊まりされていました。

相談されてこられたのは、
遠方に住むお子さまで、
両親の家、つまりご実家を、
再建できないだろうか、、、
というものでした。

資金面、ご両親の体調の変化や
ご病気などを乗り越えての着工。

着工までにも、
施工者や大工さんの空きがないなど
迂用曲折ありましたが、昨年、無事に竣工。

今年のお正月を
地震後に初めて、新居で迎えられたのです。

被災後、実に3年以上の月日が経っています。

私自身も感慨深く
あまりの達筆さに、
建主さまに、お礼を伝えると

「母が、筆をとる気持ちになったのも
心地良い家のおかげ」と、
お知らせいただきました。

ありがとうございます。

お母様はお仕事では、
お店の宣伝の文字なども
書かれておられ、
もともと字がお上手だったのです。

それが、被災後に、

「どうしちゃったの?というくらい、
かわいそうな筆跡

(お子様談)に、なられたとか。

「達筆が戻って良かった」と
胸をなで下ろされていました。

このお話を伺って、驚きました。

私の父にも同じような
出来事があったからです。
(父は達筆ではありませんが、笑)

余震で睡眠不足が続き、猛暑の中
空調の効かない仮設空間の中での仕事が
堪えたのか、体調を崩して、ダウン。

病院通いが始まりました。

その時、手が震えて、自分の名前が
まともに、書けなくなったのです。
(そんなでは、とても仕事は続けられませんね)

その後、幻聴や幻覚に悩まされ、
とうとう精神的にもダウン。

あの時見た父の文字は、今でも忘れられません。

まるで、地震の余震振動が、体に残り
その震えが、伝わってくるような
乱れた、か細い文字でした。

ちょっと、これは、まずいのではないか?と、
密かに思っていたのですが
その後、精神的に支障をきたすような事態になるとは。

名は体を表すとは言いますが、
まさに、文字は精神的な安定を表す
と、感じた出来事です。

今年の年賀状は、いつものしっかりとした
文字に戻り、ようやく、
もう大丈夫と思ったものです。

このエピソードから、分かることは

高齢になってからの、被災というのは
字がまともに書けなくなるくらいの、
ショックと心痛をもたらす

ものだ、ということです。

with コロナの暮らしで、そのように
心細く、気持ちが萎えてしまっている方も
おられると思います。

気持ちを奮い立たせるためには、
むしろ、積極的に文字を書く、
手紙など、久しぶりに書いてみる
というのはどうでしょう?

空間や環境の気を整えつつ、
心の気も整えていくには、、、

と、私自身が、
実に「書」を始めたところなのです。

もともと、腰痛で合氣道の稽古がままならない中
どうしたものかと、考えあぐねていて、

道場本部に、「気の書法」を学べる
書道教室があるというので

 「書を習ってみようか」と
思っていたのが、一昨年です。

昨年から、始める予定が、
コロナの影響もあり

 やや遠方の教室に通うのは、
リスクが上がるかもしれない
と、参加を見送りました。

ところが、通ってる図書館(公民館)の
張り紙に、書道教室の案内が。

『初心者の方でも、丁寧に指導します』
と、あるじゃないですか!

小学生以来、筆を握ることに遠ざかっており
子どもの書初めを促す意味もあって、お正月に
ちょっと久しぶりに書いてみたくらいです。

それが、習うとなると、、、
体験で、墨の擦り方から分からず
(墨汁世代ですから)

筆のおろし方、筆の運び、紙の違い、
何から何まで、知らないことばかり。
(毎回、恥をかいております、はい)

寒い冬でも、窓を開けて換気をしながらの
教室ですが、なんと、
このコロナ禍で生徒さんが増えたそうです。

コロナで、引きこもり生活。
には、実は、書はもってこいの趣味だと実感中です。

お仲間には、

・書道をやっていたベテランさんの学び直し。
・引退後の趣味の方。
・私と同世代または前後の働くママたち。

「仕事と家事の生活だけでは、
ストレスが溜まるものね!」

と、初日から共感する方に、恵まれました。

そして、体験の日の先生の書の説明の導入で、
「余白の美しさ」をどう出せるか
書は、「バランスの美学」であること。

型にはまって、上手だけでは、
書は美しくはない、上達しない
などなど、技巧だけではないこと。

「息づかいなのよね〜」
と、さらりとおっしゃって

あ、やっぱり、
これは合気道で学びたいものに通じる
「道」のつくものの探求は同じかもと
嬉しくなったこと、

加えて、建築の仕事の「美の探求」
「美のバランス感覚」を養うためにも、
良いかも〜と、

時間をどう工面するか、
むちゃくちゃ悩みましたが
(基本は家で練習、教室で先生の添削を受ける)

教室に通う時間だけのつもり(腰掛け)では
済まされないと分かり、

日曜の夕方を
タイムロックして、練習時間に当てることに。
(家族に宣言、家事も仕事も入れないぞっ!)

まぁ、正直なところ、
社会情勢が、どのように変化するか分かりません。
教室の閉鎖もあり得ます。

基本の基を学べれば、
いざとなれば在宅でも出来るもの。

なんとか、続けられるでしょう。

人間の快適な環境は、空間だけではなく
心の問題も大きいと思っています。

空間が整えば、潜在的な心の部分に
良い影響を及ぼすので、とても大切です。

それと並行して、
自分自身で心を整える努力する、ことも大切です。

コロナ禍で在宅ワークが増えればなおさら、
家族と顔を合わせて、

あるいは、誰とも顔を合わせないで
過ごさなくてはなりません。

心が寂しかったり、
心がイライラしていたら、
書はかけません。

当面の課題は、
時間確保もさることながら
夫婦喧嘩、親子ゲンカをしない、
ことでしょうか、笑。

ちなみに、書道具は子どものお下がり。
筆と紙は、以前書を学んでいた義母のお下がり。

元手がかかっていないというのも、
始められた理由としては、大きいです。

師匠になることが目的ではないので、
仲間と学びながら
(寺子屋的雰囲気がとても良いです。
「こども環境」のことを考えるにも参考になる場です。
こちらも次回のテーマにしますね。)

みなさまも気の整った人生を歩むこと
楽しんでいかれますように!