ワールドカップが終わりましたね。
関係者の皆さん、選手の方々、
そしてサポーターの方
お疲れ様でした!
すべての試合を観戦した訳ではありませんが、
テレビ中継で映し出される選手の活躍、
各国の子どもから大人までの
応援席の喜怒哀楽の表情を見ていると、
人間って、どの国でも同じなんだなぁと
しみじみ感じました。
世界の人々の一体感を感じたのは、
私だけではなかったはずです。
もちろん、参加できていない国の方が多いのですけれど。
見所は、もちろんスポーツそのものなのですが、
興味があるのは、スタジアム建築ですね。
試合中は、一部しか写りませんから、
もう少し、観たいなぁ、、、と思っていたら
FIFAの公式ページに、スタジアムの紹介コーナーがありました。
試合が終了してから、ご紹介するのも、なんなのですが
興味のある方は、ページがあるうちに
ぜひご覧ください。
スタジアムの中でも、私が注目したのは、
日本がベスト8入りを懸けてクロアチアと戦った試合会場の
『アル・ジャヌーブ・スタジアム』です。
亡き女性建築家のザハ・ハディド氏が設計を手掛けた建築。
日本では東京五輪の誘致の際に採用されて、
実現出来なかったザハ案のスタジアム。
案は違えども、日本ではできず、
カタールでは建設可能なんだなぁ、、、と
複雑な心境でもありました。
デザインが美しいだけではなく、
設備も画期的です。
屋根の開閉システムも動画を見る限り見事。
先のFIFA+のページには、
「スタジアムのデザインは伝統的なダウ船の帆をイメージしており、
アル・ワクラの船乗りの歴史に困難を表しています。」とあります。
(翻訳ソフトの間違いで、「歴史の困難」だと思います)
日経アーキテクチュアの記事によれば、
「太陽光を動力として稼働する最先端の冷却システムを搭載。
ピッチ脇と観客席の足元に通気口を設け、
地上付近にたまりやすい冷気を施設内で循環させる。
開閉式の屋根と冷却システムによって、
夏場でも施設内の温度を18~24℃に保てるという。」
だそうです。現地で見てみたかったですけどね〜。
『アル・ジャヌーブ・スタジアム』
そのほかにも、再利用できるコンテナを組み立てて
作ったスタジアムや、かつてカタールや湾岸地域で遊牧民が使っていたテント
「bayt al sha ar」に由来した『アル・バイト・スタジアム』など。
そして、メインスタジアムとも言える
『ルシル・スタジアム』
光と影、伝統的なモチーフなど
用いてデザインされています。
こんなにも、実験的で、美しく、差し先端の技術で
いくつものスタジアムを建ててしまうカタール恐るべしです。
近代的な建築が軒並み立っている開催国カタール。
イギリスの保護領という歴史からでしょうか。
イギリスの建築家も多く手がけています。
独立してからの年齢は、私よりも若い国。
石油マネーで、裕福な国のイメージが強いですね。
国民は、大学まで無償で通えるとか、
手厚い国の支援がある国、というと、羨ましい!?
実際には、人口の1割ほどしか国民がいない。
残りの約9割は、外国から移住してきた労働者。
NHKのニュースでは、建設現場で働く
海外からの労働者が賃金未払いで、
強制的に帰国させられることが問題になっていると
報道していました。
建築のデザインの光と影が、
国の光と影をも象徴しているとは!!
どれだけの人が気がついたでしょうか。。。
世界を沸かしたスポーツのお祭りも
それぞれの国の光と影があることでしょう。
先の日本で実現しなかったザハのスタジアムは、
デザインは、近未来的で美しい曲線の案でした。
建設できなかったのは、
スケールアウトだったことと、
予算がかかり過ぎることが大きな理由でした。
日本が、建築の技術的なチャレンンジをしなかった
ことには失望したものですが、
他国の労働力で、無理をさせて建築を
造らせる国でなかったことには、安堵したいと思います。
(そうあって欲しいと、希望も込めて)
これから日本での大掛かりな建設といえば
大阪で開催される万博ですね。
そのままIR会場になったりして!?
と思うくらい、費用を掛けてやりますね。
その国の建築のあり方は、
その国の政治経済、そのものの象徴でもあるので
専門的な方以外でも、建築の動向には、
これを機に、注目してもらいたいと思います。
そして、本当にその建築が必要で
環境に沿ったものであるのかも含めて、
考え、意見をもってもらえれば。
私も考え続けます。
アスリートの活躍にみる粘りの力のように
決して、希望も捨てないで、
行動したいですね!
暮れに大きな勇気と
課題をもらった一年のしめくくりです。