この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

さよならの代わりに。

2006-03-06 22:40:52 | 読書
貫井徳郎著、『さよならの代わりに』、読了。

タイムトラベルミステリです。(と帯に書いてある。)
これって何だかもったいないなぁと思う。
だってヒロインの祐里が本当に未来から来たのかどうかがこのお話の最大の謎であるはずなのに、こうもはっきりとタイムトラベルミステリと書かれてあっては興味も半減だと思うんだけどなぁ。
でもこれはある程度作者の意向でもあるらしい。
確かにまーったく何もかも情報を伏せたままあの結末だと納得いかない人がいるんだろーか。
自分はどちらかといえば予備知識ゼロで、つまりはタイムトラベルものだとも知らずに読んでみたかったです。

タイムトラベルものとしては、作者なりに新機軸のアイディアが盛り込まれています。
けれどそのアイディア自体の完成度が如何せん低い。
ん~、ちょっと無理があるんじゃないの~?と読後言いたくなりました。

とはいえ純粋に青春ミステリとして読むとかなりイケル!
登場人物は皆魅力的に描かれているし、一人称で書かれてある文章も非常に読みやすいし、なおかつ自分が一人称の文章に課しているハードルもきちんとクリアしていて、その点は好感が持てました。

実はこの本を買ったときは気分的に落ち込んでいて、まぁ落ち込んでいるのは一年のうち三百日ぐらいあるんだけど、何か気分が明るくなる読み物はないかな~と思って本屋を物色していたので、そういった意味ではこの『さよならの代わりに』はピッタリでした。
でも一つだけ文句を言わせてもらうと、ハードカバーで出版された本が文庫になる前にさらに一段階経て新書で出版されるのってなんだか納得いかないなぁ。
文庫でいいじゃん、文庫で、と思う。
まぁ、でもそう思うのは自分が赤貧に喘いでいるせいだからですけどね。。。涙。
コメント (2)
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