この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

キサラギ。

2008-01-14 23:59:11 | 日常
 『キサラギ』、DVDにて鑑賞。

 年間五十本も劇場で映画を観ていると全国公開系であれば、たいがい観たいと思う作品は観ているのだけれど、単館上映系となると上映期間が短かったり、情報自体が少なかったりで、『ゾンビーノ』や『アフター・ウエディング』など、どうしても観逃すことが多い。
 『キサラギ』もそんな一本の一つ。

 映画というのはやはり何より脚本が骨子になるのだなぁと本作を見るとあらためて思う。それぐらい脚本が抜群に上手い。
 自殺したアイドル《如月ミキ》の一周忌に集まった五人のファン。彼らの中の一人がミキの死は他殺であると言い出し、物語はいつしか彼女の死の真相を巡るミステリに変容する。
 ともかく五人の“自称”ミキファンのキャラクター造型が秀逸。きちんと性格付けされていて、あぁ、こういう奴いるよな、と思わせて、その実どのキャラクターも見た目通りではないのだ。本作はストーリーが二転、三転するが、それはすなわちキャラクターの掘り下げに他ならない。
 上手いのは脚本だけでなく、監督の演出も的確で、さらに役者陣も小栗旬や香川照之、小出恵介ら元から役者である三人だけでなく、チャラけたイメージのあるユースケ・サンタマリア、本来は芸人である塚地武雅もいい演技をしている。
 脚本、演出、演技、どれをとっても文句のつけようのない、非常にレベルの高いエンターティメント作品だし、もし去年劇場に観に行っていれば確実にベストテンに入れていたことだろう。
 こういった作品を見ると邦画も侮れないと思うし、単館上映系の作品もまめにチェックしなければいけないなとも思う。 
コメント (5)
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