この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

全然まったくお薦めではないけど、個人的には結構好きなクーンツ新作『フランケンシュタイン 対決』。

2011-10-12 21:24:39 | 読書
 自分ぐらいの本読みになると、その年の『このミステリーがすごい!』、通称『このミス』で、どの作品が一位になるのか、だいたいわかるようになるものです。
 断言しましょう、『このミステリーがすごい!2012年版』で一位を取るのは、国内編は『ジェノサイド』(高野和明著)で、海外編は『アンダー・ザ・ドーム』(スティーブン・キング著)でしょう。たぶん間違いない(『アンダー~』の方は値段の点で若干厳しいかもしれない。何しろ上下巻合わせて¥5800するからね。)。

 へぇ、そんなに自信を持って薦められるぐらい面白いんだぁ、と思った方がいたら、ちょっと申し訳ない。
 なぜかというと、自分は両作品とも未読だから(読んでないんかい!!)。
 でもほんと、自分ぐらいの本読みになるとだいたい読む前にその本がどれぐらい面白いか、わかるものなんです。
 と、偉そうなことを言ってますが、もちろん書評を参考にしてますけどね。

 ではなぜ面白い(と予想できる)本を優先して読まないのか?
 それにも一応の理由があって、必ずしも面白い(であろう)本が購入予定本リストの上位ではないからです。
 もう少し詳しく説明すると、上でも触れましたが、どんなに面白さが鉄板で保証されていても、上下巻で五千円以上もする本はおいそれとは買えないわけです。

 それに作家との付き合いというものもあります(もちろん実生活で付き合いがあるというわけではないです)。
 贔屓の作家の新作は、やっぱり本屋で見かけたら、よし、俺が買ってやろう、俺が読まねば誰が読む、と思うわけです。
 例えそれが七十点ぐらいの作品だろうな、ということが事前にわかっていたとしても!!(なぜ七十点ぐらいしかつけられない作家が贔屓なのかについては長くなるので割礼、もとい割愛。)

 さて、先日読み終わったばかりのディーン・クーンツの新作『フランケンシュタイン 対決』なのですが、やっぱり予想通り七十点でした(贔屓目に見てその点数なので、贔屓じゃなければたぶんもっと低い)。
 現代に甦ったヴィクター・フランケンシュタインと彼が生み出した怪物(現代名はデュカリオン。まるで宇宙刑事みたいな名前。)が対決するというお話。はっきりいって設定はちちんぷいぷい陳腐もいいところです。
 
 ま、一言でいうと作品として瑕疵がありすぎ。
 この作品、『フランケンシュタイン 野望』、『フランケンシュタイン 支配』、『フランケンシュタイン 対決』の全三巻に分かれています。
 第一巻に当たる『~ 野望』に、ヴィクターが生み出した、ランドル6っていう名前の新人種が出てきます。
 コイツは殺人能力には秀でてるんだけど、広場恐怖症でまともにまっすぐ道も歩けないっていう困ったチャンという設定なんですけど、『野望』の終わりで、艱難辛苦いろいろあった末に、どうにかこうにかカースンという刑事の家の床下に潜り込むわけ。この、床下に潜り込むまでの過程が、あまりにもランドル6が苦労するので泣けるんですよ。ノリはほとんど新人種版『はじめてのお使い』。

 で、当然二巻である『~ 支配』で彼がどんな活躍(or殺戮)を見せるのかと思ったら、再登場したと思った途端、カースンに撃たれて死亡。享年0歳。短い一生を終えるのです。
 そりゃねーよ、クーンツ!!と思わずにはいられませんでしたよ。

 まだまだあります。
 三巻である『~ 対決』では、私は何でもお見通しよ!みたいな《救世主》ってキャラが突然出てくるんです。いや、本当に唐突に。
 当然、この《救世主》の正体が知りたいわけじゃないですか。
 でも、コイツが結局正体が明かされぬまま、舞台から消えちゃうのです。
 ときどき(というかしょっちゅう)平気でクーンツはこういうことをやっちゃいますからね。
 そういや『オッド・トーマス』シリーズもわけがわからん終わり方でした。

 何だか、くそみそに叩いているようですが、じゃあ読んで満足しなかったのかというと、そういうわけでもないのです。
 ここら辺は説明が難しいのですが、クーンツの作品には独特の安定感があるのです。読んでいて、心が落ち着くというか…。

 そんなわけで、(脳内にある)購入予定本リストの上位にクーンツの新刊が占めるのです。
 たぶん、次作も買うだろうな、と思います。
 でもクーンツにはもう少しわけがわかる作品を書いてほしいです。
コメント (2)
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