九月四日(火)晴れ。
九月に入ったと言うのに厳しい残暑の日が続いている。本当に暑い。それでも今年は、ほとんどクーラーを使用せずに、扇風機だけで過ごしているが何とかなるものだ。
今日は、事務所で機関誌の印刷と、製作を行った。何とか、夜六時過ぎにほぼ仕上がった。残るのは、余白の切り落としだけだ。ホッとする。
自宅に戻ると、ニュースで今年の「中秋」は九月の三十日と言っていた。中秋の名月には、日本では「月見団子」だが、中国では「月餅」を食べる習慣がある。その月餅は、日本では単なるお菓子として一年中出回っているが、中国では八月にならないと、ほとんど見ることがない。八月の声を聞くと昔からの習慣で、月餅の贈り物をする。特に八月十五日の「中秋節」は、円満幸福の象徴として「団圓節」とも言われ、夜は、庭に瓜や果物、そして月餅などを机に並べて月に供える。これにすすきが添えられたなら、日本では「お月見」となる。
中国の月餅を贈る習わしは、一つの伝説に基づいている。
元の時代の末期に、蒙古人の支配者たちは自分の統制力を高めるために、色々な手を使って民衆を圧迫した。これらの蒙古人の手から天下を取り戻そうとした漢民族があちらこちらで兵を挙げた。のちに元を倒して明の皇帝となった朱元璋は、八月十五日の満月の日に揃って蜂起し一挙に元を倒すことを決めた。
同志の劉伯温という菓子屋の主人に、月の形に似せて丸くした菓子を作らせ「月餅」と名づけた。その月餅の中に「中秋節にこの月餅が切られたとき、漢民族はいっせいに立ち上がって蒙古人を殺せ!」と書いた伝令の紙切れを、餡の代わりに詰めた。これを月に供える名目で各家や同志に配って密かに連絡しあったと言われている。
中国のお菓子、月餅に尊王攘夷のいわれがあることを知っている人は少ない。かく言う私も以前読んだ「丁さんの食談義」(丁秀山著・筑摩書房)という本からの受け売りである。
今日は、今月最初の休肝日とした。あーあツライ。長い夜になりそうだ。