5月19日(水)雨。
雨か。雨と言えば、最近ではほとんど使われなくなった言葉に「遣(や)らずの雨」というものがある。意味は、帰ろうとする人をひきとめるかのように降ってくる雨。の事であるが、もう少し色っぽい意味で使われることが多い。元新橋の芸者で、その後、アメリカに渡り、コロンビア大学、ニューヨーク大学などで東洋哲学の講義をするなどの才媛、中村喜春(1913・4・14~2004・1・5)の『いきな言葉・野暮な言葉』(草思社)によると、「自分の恋人が帰らなければならない。けれども帰したくない。そんなとき、雨がザァザァ降ってくる。『雨が止むまで待っていらしたほうがいいと思うけど』なんて言って、引き止める」。まあそんな場面に出くわしたことはないけれども・・・。風情があるネェー。
その本は、何かの文章の中で紹介されていたものだが、今ではほとんど使われなくなった言葉や、しぐさなどが紹介されており、あらためて「日本語の美しさ」を認識させられた。そして今日びの若い女の子が「ヤバイ、ヤバイ」なんて言葉を使っているのを見聞きするにつれ、喜春姐さんではなくとも、心の中で「このバカ女め」と罵ってしまうのである。狭斜の巷で遊ぶ人たちには良い指南書であると思っている。
所轄の警察に、更新した免許書を取りに行った。いつの間にかゴールド免許になっていた。夜は、蒸し鶏、焼きタラコを肴に酔狂亭にて独酌。