女流名人戦五番勝負第一局。
振駒で斎田晴子女流四段の先手。▲1六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲7六歩というやや変則的な出だしから先手の中飛車。矢内理絵子女流名人は生粋の居飛車等ですので,居飛車対振飛車になることは戦前から確定的でした。
先手が玉の囲いを後回しにして左の桂馬を跳ね出して第1図。先手が攻めきれるか後手が受けきるかという勝負になりましたが,第2図で▲7八金と手を戻すようでは先手の駒損だけが残って後手優勢。第1図の仕掛けは無理であったということでしょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/3d/822a897f921440c3505fca3261c4d6f6.png)
ここからは態勢を整えてから後手が反撃。最後のところ,第3図で実戦は▲5三歩でした。ここで▲5八歩ならもう少し粘ることもできたと思いますが,大勢に影響するというほどでもないように思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/76/384468db33e833e716e3a793db2eebf4.png)
相手の無理攻めを的確に咎めた矢内名人の快勝で,防衛に向けて幸先よい先勝。第二局は2月11日に指されます。
ところでこの第二局は倉敷市で指され,これに合わせてイベントが開かれるのですが,これに予定されていたLPSA所属棋士の出演が日本将棋連盟の要望によりキャンセルされました。対局者の意向が反映されてのものであれば致し方ないものと思いますが,なぜ拒否するのかはっきりとした理由を示してほしいところです。
人間の本性と感情,とくに受動感情との関係をこのように考えたとき,そこから導くことができるひとつの定理が『エチカ』にはあります。それが第四部定理三四です。
「人間は受動という感情に捉われる限り相互に対立的でありうる」。
スピノザはこの定理を具体的な感情に視点をおいて証明していますが,ここではこれまでの流れに合わせて,対立的であるということの方から証明してみましょう。
Aという人間とBという人間がいるとします。AにとってBは,自身にとって有益であるか有害であるか,そうでなければ有益ではないけれども有害でもないかのいずれかです。これはそれ自体で明らかでしょう。ところで,第四部定理三一の帰結として,あるものがAにとって有益であるとは,そのあるものがAの本性と一致するということを意味します。そして有害とは有益の反対のことですから,要するにこれは,AにとってBは,Aの本性に一致するか対立するか,そうでなければ一致はしないけれども対立もしないかのどれかであるということを意味しています。これもそれ自体で明らかでしょう。
ところで,第三部定理五七によれば,人間は受動感情が異なるだけその現実的本性もまた異なります。したがって,人間は受動感情に従う限りでは必ずしも本性が一致するとは限りません。よってAとBは,受動感情に捕捉される限り,その本性が一致しない場合があるでしょう。つまり,AにとってBは,その本性が対立的であるか,そうでなければ対立はしなくても一致はしていないかのどちらかです。そしてこの定理は,対立する場合があるということさえ示せれば十分ですので,これでこの定理は証明できたといっていいと思います。
振駒で斎田晴子女流四段の先手。▲1六歩△3四歩▲5六歩△8四歩▲7六歩というやや変則的な出だしから先手の中飛車。矢内理絵子女流名人は生粋の居飛車等ですので,居飛車対振飛車になることは戦前から確定的でした。
先手が玉の囲いを後回しにして左の桂馬を跳ね出して第1図。先手が攻めきれるか後手が受けきるかという勝負になりましたが,第2図で▲7八金と手を戻すようでは先手の駒損だけが残って後手優勢。第1図の仕掛けは無理であったということでしょう。
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ここからは態勢を整えてから後手が反撃。最後のところ,第3図で実戦は▲5三歩でした。ここで▲5八歩ならもう少し粘ることもできたと思いますが,大勢に影響するというほどでもないように思います。
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相手の無理攻めを的確に咎めた矢内名人の快勝で,防衛に向けて幸先よい先勝。第二局は2月11日に指されます。
ところでこの第二局は倉敷市で指され,これに合わせてイベントが開かれるのですが,これに予定されていたLPSA所属棋士の出演が日本将棋連盟の要望によりキャンセルされました。対局者の意向が反映されてのものであれば致し方ないものと思いますが,なぜ拒否するのかはっきりとした理由を示してほしいところです。
人間の本性と感情,とくに受動感情との関係をこのように考えたとき,そこから導くことができるひとつの定理が『エチカ』にはあります。それが第四部定理三四です。
「人間は受動という感情に捉われる限り相互に対立的でありうる」。
スピノザはこの定理を具体的な感情に視点をおいて証明していますが,ここではこれまでの流れに合わせて,対立的であるということの方から証明してみましょう。
Aという人間とBという人間がいるとします。AにとってBは,自身にとって有益であるか有害であるか,そうでなければ有益ではないけれども有害でもないかのいずれかです。これはそれ自体で明らかでしょう。ところで,第四部定理三一の帰結として,あるものがAにとって有益であるとは,そのあるものがAの本性と一致するということを意味します。そして有害とは有益の反対のことですから,要するにこれは,AにとってBは,Aの本性に一致するか対立するか,そうでなければ一致はしないけれども対立もしないかのどれかであるということを意味しています。これもそれ自体で明らかでしょう。
ところで,第三部定理五七によれば,人間は受動感情が異なるだけその現実的本性もまた異なります。したがって,人間は受動感情に従う限りでは必ずしも本性が一致するとは限りません。よってAとBは,受動感情に捕捉される限り,その本性が一致しない場合があるでしょう。つまり,AにとってBは,その本性が対立的であるか,そうでなければ対立はしなくても一致はしていないかのどちらかです。そしてこの定理は,対立する場合があるということさえ示せれば十分ですので,これでこの定理は証明できたといっていいと思います。