数世紀ものあいだ、国際平和を実現するために、数多くの人が真剣な努力を傾けてきました。しかし、その真撃な努力にもかかわらず、いまだに平和が訪れていません。とすれば、こう考えざるを得ません。
人間の心自体に問題があるのだ。人間の心のなかに、平和への努力に抗う種々の力が働いているのだ。
『ひとはなぜ戦争をするのか』より
出典:↗アルベルト:アインシュタインとジグムント:フロイトの往復書簡
⇨アインシュタインは国連や国際裁判所の権限を強化することが戦争回避になると思っていたようだが
残念ながら裁判や法手続きでは戦争はなくならない
犯罪においても厳罰化が犯罪抑止にならないのと同様 国際法廷もまた戦争の抑止にはならないのだ
そもそも裁判というのは 犯罪者に罰を与えて「解決」だとみなす手続きに過ぎず 犯罪そのものの根源的原因究明にも再発防止にも貢献しない不毛なものである
ヒトがなぜヒトを殺そうとするのかと言えば それは暴力によって相手を制圧すれば気分的に安心満足感が得られ その安心満足感によって「解決した」という錯覚が働いているからである
野生動物の凶暴性というものは 遺伝的に凶暴な遺伝子を持った個体の方が野生環境下においては遺りやすいために起きた収斂進化の結果であって これはヒトにおいても同じ情動行動バイアスが組み込まれているのであって ヒトだけが特別に凶暴性を持っていないことの論理的根拠は何もない
カンブリア大爆発以降の壮大な5億年の進化において ヒトという種の生物はごく最近発生した新種に過ぎず 決して野獣の性質を持ち合わせていない清廉潔癖な生物などではないのである
相模原障害者施設津久井やまゆり園虐殺事件の植松聖に対し 多くのヒトは梅沢富美男の「こんな奴は裁判など要らぬ 死刑にしちまえ!」といった短絡的感情論に同調した暴力性を持っており 論理客観的な再発防止への取り組みには関心を持たない
ヒトは先天的に「気に入らない相手は死刑にして殺せば満足」だからである
植松聖に限らず ヒトの中には時折残虐行為を行う者が出てくることがある それに対して刑法「罰」をどんなに慎重に議論しても 「なぜ非合理で意味のない感情論ばかりを振り回すようなバカが出てくるのか」についての根源的原因究明にも再発防止にも司法裁判という法手続きは貢献しない
それなら 国際司法裁判所でプーチンを死刑にしても なぜ戦争などという野蛮な行為を始めてしまう政治体制が作られてしまうのかについての原因究明にも再発防止にもならず 必然的に戦争の防止にも抑止にもならない
ロシア軍による侵略を受けているウクライナでは あたかもウクライナ軍や警察官が民衆の絶対的な味方であるかのように振る舞っているが
ヤヌコビッチ政権下においてはウクライナ警察は国民に実弾を発砲し殺害しているのである
自国民に実弾を撃ったのは独裁者ヤヌコビッチ当人ではなく あくまでウクライナ警察の警察官であり 腐敗した独裁政府の命令であっても唯々諾々と盲目的に服従する多数の警察官によって独裁や組織腐敗は作り出されるものなのである
そもそもロシアによる軍事侵攻も ロシア軍に徴兵された若年兵士はプーチンに利用されているに過ぎない
これはミャンマー政府軍による民衆弾圧であっても 香港警察による弾圧であっても 太平洋戦争時の日本軍による国内外への弾圧であっても 果てはナチス国防軍による侵攻においても構造的には同じものである
組織に対する忠誠忠実さというものは 同時に盲目性や主体性の欠落も伴うものであり 「上からの命令」に従う以外に何の選択可能性も存在していないかのような集団ヒステリー的な錯覚こそが 日大のような組織腐敗においても働いているのであり
福島第一原子力発電所における津波に対する脆弱性放置という無責任性も 「組織の利益を優先し 個人が自律的な社会的責任を負わなかったこと」が 原発事故における最も根源的な原因であると畑村洋太郎は結論づけているのである
ヒトという種の生物は集団組織的に統率協調行動によって個人では得られないような「大きな力」を発揮することが可能であるのと同時に ヒトは自分で物事を論理客観的に考え 真実を追求する意思や意識といったものを簡単に放棄する先天的習性をも持っている存在なのである
バカはすぐに「先天的本能や欲望には抗えない」などという根拠のない決めつけをしたがるが これは言っている本人に主体的な自律判断をしたくないという情動を正当化するための屁理屈に過ぎない
「先天的本能や欲望には抗えない」のではなく 単に「本能や欲望には抗いたくない」という身勝手なワガママを言っているに過ぎないのである
ヒトという種の生物としては 先天的な人間としての欠陥や 認知上の著しい欠陥が存在しているものではあるが それはハードウェア的な欠陥であって 主体的思考による意思選択としてソフトウェア的にパッチを当て 自律的な社会的責任判断選択を行うことが不可能であることの論理的根拠は何もない
「やりたくない」という子供じみた幼稚な屁理屈にかまっている暇など人類には残されてなどいないのである
温室効果ガスによる大規模気候変動を抑えられなければ 戦争に匹敵するか それ以上の惨事に陥る可能性も充分にある
物質的欲望に踊らされ 権力に固執するあまりに 無駄な猜疑心によって自ら破綻への暴走をする独裁者というものは 歴史上幾度も繰り返してきた普遍的なヒトの欠陥に因るものである
本当に自分が望んでいるものが何なのかがわからない独裁者は 物質的な豊かさばかりを他人との比較においてかりそめの優越感にしか求めることができない憐れな存在である
「他人との比較」でしか優越感を得られないというのは 結局は主体的な望みが「見えていない」という精神的渇望に起因するものである
プーチンはKGB出身の「兵隊」であり 上官からの業績評価承認ばかりを人生の価値だと刷り込み学習されているため どんなに権力を手に入れても本当の自己は全く満たされることなく 際限なく物質的な欲望へと溺れ続けなければならず その精神の渇望故に他国との競争に「勝ち」続けなければならないという強迫観念から戦争を引き起こしているのである
これはナチスドイツのアドルフ:ヒトラーの精神状態と同じものであり ヒトラー以外のあらゆる独裁者とも共通する猜疑心と恐怖に怯えて嘘と破壊にしか価値を見いだせなくなっている「精神の病」である
腐敗組織の独裁者というのは 本当は「自分が何を求めているのか」がわからないのである
プロパガンダで騙した多数の憐れな自国民からの人気や評価欲しさにユダヤ人やウクライナ人といった民族国籍による差別暴力を振り回すことくらいしか何も思いつかない憐れな病人に過ぎない
こうした洗脳状態というものは 独裁者に服従する兵隊に限ったことではなく むしろ服従する兵隊達にそそのかされる形で独裁者自身もまたエコーチェンバーに陥り「騙されて」いるのである
オウム真理教教祖麻原彰晃が法廷で何の罪の意識も持っていなかったのも 組織内部においてはバカな信者達からの評価承認欲しさのエコーチェンバーの底で「何も見えなくなって」いたからである
「見えなくなる」原因はわかっている それは主観的な感覚的好き嫌いが原因であり 自分の主観が絶対であるという錯覚こそが論理客観性を後回しにすることで何も「見えなくなる」のである
それは虐待を繰り返す親の屁理屈同様 主観的に気分が良くなる話にばかり耳を傾け 都合の良い話だけを「信じよう」とするヒトの先天的な認知上の欠陥に起因するものである
ロシア国営放送がプロパガンダに邁進するのも 組織の利益を優先し個人が自律的な社会的責任を負おうとはしない無意識な者の群れによって作り出されているのであり
独裁者はそうした大多数の同調者を「賛同」だと勘違いすることで それを評価承認であると錯覚し 独裁体制というエコーチェンバーの底に陥ることになるのである
誰にも目的意識のない集団組織がどこへ向かうのかは 誰にも予測がつかず それは独裁者本人も同じである
日大の組織腐敗も 東京電力福島第一原子力発電所の無責任体質も オウム真理教や 名だたる大企業の不祥事においても 主体性のない無意識な服従者達によって形成された盲目的洗脳状態の集団組織の暴走に他ならない
「意識」とは その本質は個人の自律的な主体的論理客観的根拠に基づく真理(真実)の探求性であり
その場限りに既存の価値観を満足させるためのエコーチェンバーに洗脳されていた方が安心で満足感も得られるものである
その主観的安心満足に溺れていることこそが「精神の怠慢」であり 無意識というものの正体である
無意識が何なのかが識別できれば 本質的な意識が何なのかも「見えて」くるのである
Ende;