[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。
1年あまり前だったか。宅食サービスで冷凍食品を山ほど注文。
子どもの棺桶くらいのサイズの発泡スチロールの箱が届いた。
うちにはそんな冷凍庫はありません。
今度から食品を注文するのは、私を通してくださいね。
届け物の不在票が郵便受けに入っていた。
4千円あまりの食品らしい。
着払いだが、家にいる母には現金を持たせていない。
配送業者はしかたなく商品を持ち帰ってくれた。
※
その1週間ほど前のこと。
母が宅食の配布雑誌を見て、注文葉書に何かゾロゾロと書き込んでいた。
葉書一杯に書き込んでいる。おおう。
何を注文するのかな?
「K子ちゃんに贈りたくて。」
うんうん、フランス在住の私の従姉にあたる人にね。
いつもなんかしら送ってくれるしね。
でも宅食のカタログに、贈るのにふさわしい物が載っているものかな?
ー注文する前に私に一旦見せてくださいね。―と、
私は念を押した。
あの時の注文か。
※
再配達してもらってみると、小さな発泡スチロールの箱だった。
まぐろの漬けの冷凍だった。
うーんちょっと高価だが。
買い物に出られないとっしょりの楽しみとしては、仕方ないか。
それにしても、葉書にあんなにたくさん書いていた様子だが、
結局これだけにしたのかしら。
※
それからまた1週間ほど経って、
ある日の午後、家にいる母から私の携帯に電話がかかった。
聞けば、着払いの荷物が来たが受け取れなかった、ということらしい。
はいはい、不在票を置いておいてね。
と答えて、私は外出先からインターネットで再配達依頼をした。
予定を早めて帰宅して、今日のうちに受け取ろう。
なるほど、やはり注文したのは、先日届いたまぐろだけではなかったのだ。
※
指定した時間帯に合わせて急いで帰宅すると、
郵便受けに不在票が入っている。
あれ?母は廊下に不在票を置いておくと言っていたが。
おや。たしかに廊下にも不在票が有る。
あらら、これは別々の配送業者からの不在票だ。
※
指定した時間帯に、配送業者は来てくれた。ありがとうございます。
小さな発泡スチロールの箱だ。ほっとする。
5千円あまり。ええっ、一体何じゃ。
開けてみると、小さなカップのアイスクリームが11個。
冷凍庫にしまう。
ただ、うちの冷凍庫はもう弱っている。
アイスクリームは保管できないのだ。
何度も母に説明しているが、
一旦解けたアイスクリームはもう固まらない、という事実を
受け入れない。
ただの事実なんだが。
そしてその日は猛暑。
クール便とは言え、アイスクリームは解けかけているようだ。
紙製のカップを持つと、ちょいと「ふにゃっ」とした感覚だった。
ああ。もったいない。
※
パーキンソン病の薬のうち、副作用として「欲求が抑えにくい」というものがある。
調子の良いときに母にそのことを説明すると、
「なるほどね。私の場合、特に食べ物に関して、ダメね。」などと殊勝なことを言う。
しかし、目の前においしそうなものが有ると、あれもこれももっともっと、となる。
※
それに、フランスの従姉に贈るものだったはずじゃないか。
「うちのものもいくつか買った。」
うちのものじゃなくて、自分の物でしょうが。
「K子ちゃんの夫のMさんが、どらやきが好きだから、送ってあげたい。」
ええっ、フランスにどらやきを送る?
カビてしまうだろ。
個人で冷凍で送るって、海外宛には考えにくいわ。
※
待てよ、じゃあ、もう一枚の不在票はなんなのだ。
こちらは郵便局からだ。
調布局は遠くない。
こちらのタイミングの良い時に取りに行こう。
やはり着払いか。
に?
28,768円??!!
食品で、にまんはせんYEN!?
ヤバい。
また、子どもの棺桶級だ。
つづく
1年あまり前だったか。宅食サービスで冷凍食品を山ほど注文。
子どもの棺桶くらいのサイズの発泡スチロールの箱が届いた。
うちにはそんな冷凍庫はありません。
今度から食品を注文するのは、私を通してくださいね。
届け物の不在票が郵便受けに入っていた。
4千円あまりの食品らしい。
着払いだが、家にいる母には現金を持たせていない。
配送業者はしかたなく商品を持ち帰ってくれた。
※
その1週間ほど前のこと。
母が宅食の配布雑誌を見て、注文葉書に何かゾロゾロと書き込んでいた。
葉書一杯に書き込んでいる。おおう。
何を注文するのかな?
「K子ちゃんに贈りたくて。」
うんうん、フランス在住の私の従姉にあたる人にね。
いつもなんかしら送ってくれるしね。
でも宅食のカタログに、贈るのにふさわしい物が載っているものかな?
ー注文する前に私に一旦見せてくださいね。―と、
私は念を押した。
あの時の注文か。
※
再配達してもらってみると、小さな発泡スチロールの箱だった。
まぐろの漬けの冷凍だった。
うーんちょっと高価だが。
買い物に出られないとっしょりの楽しみとしては、仕方ないか。
それにしても、葉書にあんなにたくさん書いていた様子だが、
結局これだけにしたのかしら。
※
それからまた1週間ほど経って、
ある日の午後、家にいる母から私の携帯に電話がかかった。
聞けば、着払いの荷物が来たが受け取れなかった、ということらしい。
はいはい、不在票を置いておいてね。
と答えて、私は外出先からインターネットで再配達依頼をした。
予定を早めて帰宅して、今日のうちに受け取ろう。
なるほど、やはり注文したのは、先日届いたまぐろだけではなかったのだ。
※
指定した時間帯に合わせて急いで帰宅すると、
郵便受けに不在票が入っている。
あれ?母は廊下に不在票を置いておくと言っていたが。
おや。たしかに廊下にも不在票が有る。
あらら、これは別々の配送業者からの不在票だ。
※
指定した時間帯に、配送業者は来てくれた。ありがとうございます。
小さな発泡スチロールの箱だ。ほっとする。
5千円あまり。ええっ、一体何じゃ。
開けてみると、小さなカップのアイスクリームが11個。
冷凍庫にしまう。
ただ、うちの冷凍庫はもう弱っている。
アイスクリームは保管できないのだ。
何度も母に説明しているが、
一旦解けたアイスクリームはもう固まらない、という事実を
受け入れない。
ただの事実なんだが。
そしてその日は猛暑。
クール便とは言え、アイスクリームは解けかけているようだ。
紙製のカップを持つと、ちょいと「ふにゃっ」とした感覚だった。
ああ。もったいない。
※
パーキンソン病の薬のうち、副作用として「欲求が抑えにくい」というものがある。
調子の良いときに母にそのことを説明すると、
「なるほどね。私の場合、特に食べ物に関して、ダメね。」などと殊勝なことを言う。
しかし、目の前においしそうなものが有ると、あれもこれももっともっと、となる。
※
それに、フランスの従姉に贈るものだったはずじゃないか。
「うちのものもいくつか買った。」
うちのものじゃなくて、自分の物でしょうが。
「K子ちゃんの夫のMさんが、どらやきが好きだから、送ってあげたい。」
ええっ、フランスにどらやきを送る?
カビてしまうだろ。
個人で冷凍で送るって、海外宛には考えにくいわ。
※
待てよ、じゃあ、もう一枚の不在票はなんなのだ。
こちらは郵便局からだ。
調布局は遠くない。
こちらのタイミングの良い時に取りに行こう。
やはり着払いか。
に?
28,768円??!!
食品で、にまんはせんYEN!?
ヤバい。
また、子どもの棺桶級だ。
つづく
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