[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々は、
どらやきをフランスに送る、と言って、宅食業者の通販に葉書で食品を注文した。
4~5千円の冷凍食品が二品届き、そしてまだ不在票が手元に残る。
着払いで約28,000円だという。
家から2㎞ほどの郵便局に、車で向かう。
朝8時に、犬の点滴を手伝いに友人Mが家に来てくれる、その前に
ひとっ走り用事を済ましてしまおう。
ガランとした局の、郵便物受け取り窓口へ向かう。
不在票を渡し、身分証を見せる。
局員が奥に荷物を探しに行く。
※
遅い。
なかなか戻って来ない。
そういえば、28,000円分の食品という荷物の大きさを
私はイメージしていなかったな、と
待ちながら思った。
思ってから更にしばらく待った揚げ句、
ガラガラガラと局員が荷物を押して戻って来て言う。
「すごい重いんですけど、大丈夫ですかねえ?」
えっ。と、
一人じゃ無理なくらい?
「台車はお貸ししますけど。」
じゃあ、車まで借ります。
台車と呼んでいるのは、
直方体の辺をパイプで組んでキャスターを付けただけの
シンプルな形の物だ。
腰より少し低いくらいの高さに作ってあるので、
重い荷物を積み下ろししやすくなっている。
これ、見たこと有るな。
ああ、この高さ、こんな感じの台車に、
こういうふうに箱が載っているの、
霊安室との棺の移動の様によく似ている。
※
後部座席には入らない。
車の後部のハッチを開けて、
すっぽり入り切る幅なのでホッとした。
まったく、こういう型の車じゃなきゃ、もっと苦労しただろう。
それに、段ボール箱が大き過ぎて、持ち上げるとなんだかグニャグニャする。
友人Mは台車を持っている。
でもこの荷物はフツウの台車からははみ出て運びにくそうだし、
家の前の砂利道は台車に向かない。
二人で持って運んだほうが良さそうだ。
そう、棺のように。
※
友人Mを手招きして、駐車場へ向かう。
ハッチを開ける。
「どうしたのお!これええ!」
友人Mには、事の次第は全部話してある。
ついでに、以前届いたどでかい発泡スチロールの箱も見せたことがある。
それに、Mは日頃たいへん冷静な人で、そうそう叫んだりしない。
それでも、叫ぶのだ。
そうだよね。やっぱ驚くよね。
大きい荷物を見たって、中身が家具だと思えば、大きさも値段もふさわしい。
中身が食品だと知っているだけに、驚くわけだろう。
驚くMと私で段ボール棺を家に運んだ。
そして、釘を抜きじゃないガムテープを剥がし、箱を開けた。
※
おおお。
これが送りたいどら焼きだな。
ひと袋何十個入りなんだ?それが束になっている?
何?そっちにもう一束どら焼きが有る?
Mが言う。
「良かったねっ、賞味期限、10月だよ!」
そっちは何だ?
かりんとう?すごいカサだな。
何?そっちにもう一束かりんとうが有る?
じゃあこの数々の小さい段ボール箱を開けていこう。
そっちは何?
おでん?なるほど。
って、12食も要らんわ!
これは、一口水ようかん?
何十個入ってんだ?
何?そっちにもう一箱水ようかんが有る?
まったく、うちは菓子問屋か。
こっちは、何か贈答用の瓶詰めだわ。
佃煮とか、鮭ほぐしとか。
ああ、何かホッとする。
これは何?ロシアケーキ?
ロシアケーキって何?
「ああ、ロシアケーキね、こういう形だよね。」と、Mは知っている。そうか。
何?そっちにもう一箱ロシアケーキが有る?
なんかアレじゃないか、たくさん有るうち一個だけ激辛とか。
それじゃロシアンルーレットケーキか。
※
母にその荷物の山を見せて、これは極端であり困る、と申し入れるが、
山のような菓子を見ても母は特段驚いた様子も無く、
「それには理由が有る。」と言う。
大脳辺縁系の欲求にドライブが掛かって前頭葉のブレーキが壊れている人の
理由をきちんと聞くと、こちらの脳みそには到底理解し難いので、
私は馬になりたい。
※
「これは子どもっていうか、大人も入るよー。」とM。
そうね。レッツトライ。
どらやきをフランスに送る、と言って、宅食業者の通販に葉書で食品を注文した。
4~5千円の冷凍食品が二品届き、そしてまだ不在票が手元に残る。
着払いで約28,000円だという。
家から2㎞ほどの郵便局に、車で向かう。
朝8時に、犬の点滴を手伝いに友人Mが家に来てくれる、その前に
ひとっ走り用事を済ましてしまおう。
ガランとした局の、郵便物受け取り窓口へ向かう。
不在票を渡し、身分証を見せる。
局員が奥に荷物を探しに行く。
※
遅い。
なかなか戻って来ない。
そういえば、28,000円分の食品という荷物の大きさを
私はイメージしていなかったな、と
待ちながら思った。
思ってから更にしばらく待った揚げ句、
ガラガラガラと局員が荷物を押して戻って来て言う。
「すごい重いんですけど、大丈夫ですかねえ?」
えっ。と、
一人じゃ無理なくらい?
「台車はお貸ししますけど。」
じゃあ、車まで借ります。
台車と呼んでいるのは、
直方体の辺をパイプで組んでキャスターを付けただけの
シンプルな形の物だ。
腰より少し低いくらいの高さに作ってあるので、
重い荷物を積み下ろししやすくなっている。
これ、見たこと有るな。
ああ、この高さ、こんな感じの台車に、
こういうふうに箱が載っているの、
霊安室との棺の移動の様によく似ている。
※
後部座席には入らない。
車の後部のハッチを開けて、
すっぽり入り切る幅なのでホッとした。
まったく、こういう型の車じゃなきゃ、もっと苦労しただろう。
それに、段ボール箱が大き過ぎて、持ち上げるとなんだかグニャグニャする。
友人Mは台車を持っている。
でもこの荷物はフツウの台車からははみ出て運びにくそうだし、
家の前の砂利道は台車に向かない。
二人で持って運んだほうが良さそうだ。
そう、棺のように。
※
友人Mを手招きして、駐車場へ向かう。
ハッチを開ける。
「どうしたのお!これええ!」
友人Mには、事の次第は全部話してある。
ついでに、以前届いたどでかい発泡スチロールの箱も見せたことがある。
それに、Mは日頃たいへん冷静な人で、そうそう叫んだりしない。
それでも、叫ぶのだ。
そうだよね。やっぱ驚くよね。
大きい荷物を見たって、中身が家具だと思えば、大きさも値段もふさわしい。
中身が食品だと知っているだけに、驚くわけだろう。
驚くMと私で段ボール棺を家に運んだ。
そして、釘を抜きじゃないガムテープを剥がし、箱を開けた。
※
おおお。
これが送りたいどら焼きだな。
ひと袋何十個入りなんだ?それが束になっている?
何?そっちにもう一束どら焼きが有る?
Mが言う。
「良かったねっ、賞味期限、10月だよ!」
そっちは何だ?
かりんとう?すごいカサだな。
何?そっちにもう一束かりんとうが有る?
じゃあこの数々の小さい段ボール箱を開けていこう。
そっちは何?
おでん?なるほど。
って、12食も要らんわ!
これは、一口水ようかん?
何十個入ってんだ?
何?そっちにもう一箱水ようかんが有る?
まったく、うちは菓子問屋か。
こっちは、何か贈答用の瓶詰めだわ。
佃煮とか、鮭ほぐしとか。
ああ、何かホッとする。
これは何?ロシアケーキ?
ロシアケーキって何?
「ああ、ロシアケーキね、こういう形だよね。」と、Mは知っている。そうか。
何?そっちにもう一箱ロシアケーキが有る?
なんかアレじゃないか、たくさん有るうち一個だけ激辛とか。
それじゃロシアンルーレットケーキか。
※
母にその荷物の山を見せて、これは極端であり困る、と申し入れるが、
山のような菓子を見ても母は特段驚いた様子も無く、
「それには理由が有る。」と言う。
大脳辺縁系の欲求にドライブが掛かって前頭葉のブレーキが壊れている人の
理由をきちんと聞くと、こちらの脳みそには到底理解し難いので、
私は馬になりたい。
※
「これは子どもっていうか、大人も入るよー。」とM。
そうね。レッツトライ。
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