犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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笑う門には

2020年09月15日 | 介護ウチのバヤイ
「面白いから笑うんじゃないんです。
笑うから面白くなるんです。」

定席で落語家がよく言う言葉だ。



同じように、「笑うのは健康に良い」というのも
枕でよく話される。
「科学的に証明されたそうです。」と言う。
たぶん、草分けである村上和雄さんの研究のことを言っているのだろう。

今は認知症リスクと笑いの回数の研究なども進んできているようだ。



ある研究では、笑顔を作るだけで良い、という。
笑顔を作ることで、自分が笑っていると勘違いするのだそうだ。

笑うから楽しくなってくる、ということが
実験で証明されているのだ。



ひとりでいる時も、ニコニコしていたほうが
楽しく生きられる。



一方で、客商売などで、意に反して笑顔を作り続けたり、
客相手と言わず、上司や先輩や先生や家族などに対して
愛想良くしていないとならない
という気持ちで一日を過ごすと、
疲れてしまう。

顔面から疲れる。

顔面の筋肉は、頭全体の筋膜に繋がり、
それは後頭部からうなじの筋肉に繋がり、
肩の筋肉や、背中を経て腰までも繋がる。

また反対に、背中や肩の緊張が、頭を経て
顔に繋がるとも言える。

表情を作ることでお疲れの人には、
帰宅時か、就寝前にでも、
顔を蒸すことをおススメしたい。
蒸しタオルを作って、ほんの2分で良いので、
仰向けになって顔に蒸しタオルを乗せる。
顔を看板にして他人と対面してきた一日の疲れを
蒸し出すことができる。



母の介護の中で、介護職の人たちの表情の良さ、
明るさ、やわらかさには感服してきた。
おそらく私などは疲れと緊張と苛立ちを顔ににじませて、
ピリピリしているだろうに、
その前でもにこやかに仕事をしてくれる。
頭が下がって床すれすれざんす。

よく笑う人も、本当にありがたかった。



ある時、メンタリストDaigoの本が母の手元に有った。
察するに、ある三十代の介護士さんが、母に本をくれたのではないか。

Daigoの言葉は、三十代のその人の心の支えにはなったようだが、
八十代後半の母にはまるでピンと来なかったようだ。

そらそうだろうな、
と、五十代の私は思う。



その介護士さんは、とても良くしてくれた。
なるべく時間を取って、母の話をたくさん聞いてくれた。
母は「また遊びに来てね。」とその人を見送っていた。



しばしばメモを置いてくれた。
就寝前に薬を飲むのを自己管理していた頃が有った。
いつも、薬を飲む準備をして、かわいいメモ用紙に
「〇月〇日(〇) 就前薬 忘れずに飲んでね。」
などと書いてくれた。



ある時、そういうメモに、
小噺のようなものを書いてくれた。

「18歳と81歳」というタイトルだった。
誰かが作ったネタだろう。
18と81は数字が裏返しなら、起きることも裏返し、
という笑いである。

三十代のその人は笑えると思って書いてくれた。
五十代の私は笑った。
しかし八十代の母は笑わなかった。
「何が面白いのか分からない。」とすら言っていた。
そういう母の目の前でこれを読んで笑うことも、
私には憚られた。

「18歳と81歳

恋に溺れるのが18才
風呂で溺れるのが81才

道路を暴走するのが18才
道路を逆走するのが81才

心がもろいのが18才
骨がもろいのが81才

まだ何も知らない18才
もう何も覚えていない81才

自分探しをしている18才
皆が自分を探している81才」
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