犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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駒を削る

2020年04月11日 | なりもの
[あらすじ] 明大前ハナムラ楽器で作ってもらった、
複弦バリトンウクレレのブリッジが表板から剥がれてしまった。


ハナさんはノリの良い時と悪い時が有る。
悪い時だと、こんなことを言う。
「須山ちゃん、楽器っていうのは何百年かけて今の形に落ち着いているんだ。
これがいい、こうでないとならない、そういう作り方になってるんだよ。」

ちょっと調子の良い時は、同じことをこう言う。
「だから須山ちゃん、新しい楽器を作るってのは難しいんだ。
それをやってんだから俺は天才だよ。はっはっは。」



バンジョー型のウクレレを作ってもらいに行った時、
3つくらいの案を持って行った。
一番作って欲しかったのは、実はその時、複弦の楽器だった。

しかし、ハナさんは
「複弦は案外、伝わりにくいよ。
そんなに演奏効果は無い。」

そう言って断られてしまった。
まあ、おかげでバンジョー型を作ってもらえたから良し。

そんなことが有ったから、2年後に複弦ウクレレを注文しに行く時には
不安が有った。
また断られやしないか。
でも欲しい。複弦が欲しい。

ここは、一つ二つ何か新鮮なアイディアをセットにして話して
ハナさんをその気にさせるしかない。
おもしろいね!やってみよう。
と言わせることができれば作ってもらえる。



それと同時に、駒が傾いてしまう問題も解決したい。

バンジョー型は、皮の上に駒を立てる。
固定されていない。
だから、自由にずらすことができる。

これだ。この方式だ。
表板が板であっても、この方式にすれば良いのだ。



私は、オクターブが合わせられるから、なんていう理由は
絶対に言わないようにしつつ、
板の上に駒を立てる方式を提案した。

「でもね須山ちゃん、貼り付けてある方が弦の振動が効率良くボディに伝わるんだよ。」
ああ、そうか。そりゃそうですね。

「だから、貼り付けない駒にするなら、音量は少し犠牲にすることになる。
その分エレキにする、っていうのも考えられるけど、
それでまたいろいろくっ付けるとこれも板の振動を抑えることになっちゃう。」
ふむふむ。

なるほど、よく分かった。
いろいろ考慮した上で、今回は駒を立てるやり方で作って欲しいな。
「そうか。わかった。」



数週間後、電話がきた。
「できたよ、須山ちゃん」
製作途中経過も見に行こうと思っていたが、
意外に早く完成した。

できた楽器を見てみたら、ブリッジが表板に着けてあった。
爺ぃ、忘れやがったな。
あんまり考えず、私の書いた仕様書も見ず、
いつもの手順で作りよったな。

わーいハナさんありがとう。

ハナさんに文句を言っても始まらない。
貼ってしまったブリッジを剥がすわけにもいかない。
いいさ。これで使うさ。
ジャラーーーん
ああいい音。



ですから、
今回、ブリッジが剥がれてしまっているのを発見して、
私は「チャンス!」と思った。

ブリッジのほうから剥がれてくれたのである。
こんなのハナさんに見せたら、すぐに修理してくれちゃう。
接着されてしまう。

見せない。



このチャンスに、表板の上に立てる駒を自作しよう。

密度が高く硬めの木を削って作るか。
2,3年前に庭のツツジの古い幹を切った。
老母の介護のため、その頃から薪ストーブを使わなくなったから、
燃やさずにただほったらかしてる。
よく乾いているだろう。

適当な長さに切る。
鉈で縦に割る。

ツツジの幹はくねっているので、まっすぐに見える数㎝の部分を割っても、
まっすぐにスパンと割れはしない。
厚めに割っておく。

ディスクグラインダーにヤスリを取り付けて、
ひっくり返して置き、足で踏んでしっかり押さえる。

ゴム手袋をはめて木片を持ち、
グラインダーを回して、木片をまっすぐ当てる。
ぶれると平たく削れないからしっかり押さえる。

立てる側を厚く、弦を乗せる側を細く、三角形にするのが
ちょいと難しい。



弦の端を掛ける部分もついでに作ろう。
適当な太さの四角い棒を作る。
皮は残してみようか。

この部品をどうやって本体に取り付けるか。
ストラップを掛けるためにエンドピンが付いているから、
そこに針金で掛けるか。
それにしてもどうやって。


つづく
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