15年以上前に見たのに、忘れられない夢が有る。
何年か前に別れた恋人と、すれ違いの喧嘩をした。
些細なきっかけだったように思うが、
経緯を説明しても納得してもらえない。
本当に、ちょっとの行き違いに過ぎないのに。
後悔ばかりするが、後悔はしても何も解決されない。
そのまま関係は崩れていってしまう。
しかし、ある時、その行き違いの様子を見るのだ。
客観的な視点に立っている。
恋人はもちろん、自分の姿も見えている。
そして、その時の経緯を一部始終、私は見る。
まるで、巻き戻したビデオテープを再生するかのように。
ただ、見るだけ。
その時の自分の言動を変えることはできない。
過去の自分になり替わることはできない。
声をかけて教えてやることもできない。
何も手出しできず、
ただ、見るだけ。
目が覚めて、やりきれない気持ちで涙が出た。
「何年か前に別れた恋人と」のところから夢である。
だから、現実に何年か前に別れた恋人とのすれ違いを
見たわけではない。
しかし、過去というものはどうにも変えようが無い
ということを夢に思い知らされたように感じたのだ。
※
現在は、無いにも等しいくらいの一瞬で過ぎ去る。
瞬く間に過去となる。
同様に、私たちが未来と呼んでいるものも、
あっという間に目の前の現在となり、過去となる。
現在だけでなく、未来もはかない。
有るのは過去ばかり。
※
[いきさつ] 今春のテレビドラマで「ストロベリーナイトサーガ」を観た。
暴力団幹部と女性刑事が情を交わす。
抑制の利いた演出と、主演の二階堂ふみさんの演技に嘆息した。[イイ]
そんなら、と映画「私の男」(2014)を観た。
二階堂さんと共演するのは浅野忠信さんである。
雑に言うと、育ての父と娘が男女の関係になるお話だ。
主人公の女性は物語の最後には20代半ばくらいに成長する。
二階堂さんが演じるのは、中学時代からだ。
どちらにも見える。
そして「イケナイ関係」を演じるとなんてすばらしいのか。
浅野さんが獣風味な中に異様に優しげな目つきをするのも、
役柄にぴったりだ。
※
映画を観ていて、ちょこちょこと不満は有った。
では、原作ではどうなっているのか。
しゃあねえ、読むか。
調べると、家族を舞台にした連作のように見ている人もいる。
じゃあ前の作品から読む。いつもの遠回り癖が出る。
※
『赤朽葉家の伝説』(2007)はいくつかの賞を受けている。
直木賞に、また「センス・オブ・ジェンダー賞」というのにノミネートされたそうだ。
なんだその賞は。
調べると、ボーイズラブ漫画や異類婚姻ものの作品などが受賞している。
おや、2007年には私の大好きな『犬身』が大賞にノミネートされて、
松浦理英子さんは辞退している。あはは、やるう。
『赤朽葉家』の奥様の旧友の兄は、復員してきた後、女装して狂ったようになり自死する。
その他にも、ジェンダーに関わる表現が作中にところどころあらわれる。
つづく
何年か前に別れた恋人と、すれ違いの喧嘩をした。
些細なきっかけだったように思うが、
経緯を説明しても納得してもらえない。
本当に、ちょっとの行き違いに過ぎないのに。
後悔ばかりするが、後悔はしても何も解決されない。
そのまま関係は崩れていってしまう。
しかし、ある時、その行き違いの様子を見るのだ。
客観的な視点に立っている。
恋人はもちろん、自分の姿も見えている。
そして、その時の経緯を一部始終、私は見る。
まるで、巻き戻したビデオテープを再生するかのように。
ただ、見るだけ。
その時の自分の言動を変えることはできない。
過去の自分になり替わることはできない。
声をかけて教えてやることもできない。
何も手出しできず、
ただ、見るだけ。
目が覚めて、やりきれない気持ちで涙が出た。
「何年か前に別れた恋人と」のところから夢である。
だから、現実に何年か前に別れた恋人とのすれ違いを
見たわけではない。
しかし、過去というものはどうにも変えようが無い
ということを夢に思い知らされたように感じたのだ。
※
現在は、無いにも等しいくらいの一瞬で過ぎ去る。
瞬く間に過去となる。
同様に、私たちが未来と呼んでいるものも、
あっという間に目の前の現在となり、過去となる。
現在だけでなく、未来もはかない。
有るのは過去ばかり。
※
[いきさつ] 今春のテレビドラマで「ストロベリーナイトサーガ」を観た。
暴力団幹部と女性刑事が情を交わす。
抑制の利いた演出と、主演の二階堂ふみさんの演技に嘆息した。[イイ]
そんなら、と映画「私の男」(2014)を観た。
二階堂さんと共演するのは浅野忠信さんである。
雑に言うと、育ての父と娘が男女の関係になるお話だ。
主人公の女性は物語の最後には20代半ばくらいに成長する。
二階堂さんが演じるのは、中学時代からだ。
どちらにも見える。
そして「イケナイ関係」を演じるとなんてすばらしいのか。
浅野さんが獣風味な中に異様に優しげな目つきをするのも、
役柄にぴったりだ。
※
映画を観ていて、ちょこちょこと不満は有った。
では、原作ではどうなっているのか。
しゃあねえ、読むか。
調べると、家族を舞台にした連作のように見ている人もいる。
じゃあ前の作品から読む。いつもの遠回り癖が出る。
※
『赤朽葉家の伝説』(2007)はいくつかの賞を受けている。
直木賞に、また「センス・オブ・ジェンダー賞」というのにノミネートされたそうだ。
なんだその賞は。
調べると、ボーイズラブ漫画や異類婚姻ものの作品などが受賞している。
おや、2007年には私の大好きな『犬身』が大賞にノミネートされて、
松浦理英子さんは辞退している。あはは、やるう。
『赤朽葉家』の奥様の旧友の兄は、復員してきた後、女装して狂ったようになり自死する。
その他にも、ジェンダーに関わる表現が作中にところどころあらわれる。
つづく
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