我が犬は、雑種である。
母犬は白地に茶斑で、立ち耳だが片耳が途中で垂れて、
尻尾は軽く巻いていた。
和洋折衷の何だかわからない雑種であった。
母犬が暮らしていた場所の近くを車で通ったら、
ラブラドルレトリーバーらしい犬がいた。
一緒に見に行った人と、あいつが父犬ではないか、と話し合った。
ラブラドルレトリーバーに見えるが、ラブラドルレトリーバーとは言い切れないような、
なんだか切れの悪いラブラドルレトリーバーだった。
大体、こんな所で純血の犬が飼われているはずがない、と思うような場所だったこともある。
顔の両側に、顔と同じくらいの大きさの耳が垂れていた。
耳・顔・耳、というバランスである。
仔犬たちは、小さな三角の耳が立っていたが、成長するにつれ、
耳は大きくなり、垂れてきて、あの犬そっくりになっていった。
やはりあいつが父犬だったのだろう。
そして、白地だったところに、斑が出てきた。
真っ白できれいだった足に、ぷちぷちと細かい茶色の点がどんどん浮き出てきたのだ。
なんとかスパニエルとか、セッターとか、そんな感じの点々だ。
そして全体的に、洋風の猟犬のような見栄えになった。
雑に織り交ざった結果、なんだか恰好がついたのだ。
きょうだい2匹を連れていると、よく犬種を聞かれたものだ。
「ただの雑種です。」
※
しかし、行動にも明らかな猟犬の習性が現れた。
獲物を捕らえる遊びが大好きだ。
ボールを投げれば追いかける。
獲物を探す遊びも大好きだ。
ボールをわざと草むらの中に投げる。
猟犬にも様々な種類があり、それぞれに特性がある。
飼い主が撃ち落とした鳥を、落ちた場所に探しに行って拾って来るもの、
獲物を見つけたら方向を知らせるもの、
獲物を狙ったら追い続けるもの、
巣穴を探して獲物を引っ張り出して来るもの、
などなど。
我が犬の見た目はポインターによく似ている。
川っぷちに連れて行ったら、鴨を見つけた。
前足を片方、折り曲げて上げて、鴨の方向へ前のめりになって、
じっと見つめて微動だにしない。
これがポイントの姿勢だ。
よしよし。でも私は銃猟はしないのだよ。
※
犬の友だちの飼い主さんが言う。
「川っぷちに行くと、バードウォッチングの人がいて、迷惑かけちゃうから困る。」
ゴールデンレトリーバーである。
鳥を追うのも、川に入るのも大好きだ。
鳥の写真を撮ろうとしている人は、鳥を刺激しないように神経を使っている。
少し離れたところから、大砲のようなレンズで鳥を狙っている。
大きな声を出したり、ましてや近付いたり駈け寄ったりしたら、台無しだ。
そこにゴールデンレトリーバー。たしかに迷惑をかけるだろう。
近くの野川には、カワセミがいる。
カワセミは、水面ぎりぎりの土手に、巣穴を作る。
その周辺を自分のテリトリーとする。
木の低い枝から水の中をじっと狙い、飛び降りて魚を襲う。
カメラマンたちは、そんなシャッターチャンスをずっと待ち構えているのだ。
森のほうへ行けば、今度はオオタカを観察する人がいる。
神代植物園や周辺の木に営巣することがあるのだ。
散歩していると、ふと道端に人が立っていたり座り込んでいたりして、
びっくりする。
びっくりしてうっかり声なんか上げると、鳥が逃げてしまって、ご迷惑をかけることになる。
犬の友だちの飼い主さんは、あるとき、そんなバードウォッチャーに声をかけてみた。
「何がいるんですか?」
「鳥。」
断っておくが、その飼い主さんは、かなり感じの良い人だ。
その人に対して、「鳥。」
よほど声を出したくないとお見受けする。
いやー、それはわかってるけど…、と心の中でつぶやき、それ以上は聞けなかったと言う。
母犬は白地に茶斑で、立ち耳だが片耳が途中で垂れて、
尻尾は軽く巻いていた。
和洋折衷の何だかわからない雑種であった。
母犬が暮らしていた場所の近くを車で通ったら、
ラブラドルレトリーバーらしい犬がいた。
一緒に見に行った人と、あいつが父犬ではないか、と話し合った。
ラブラドルレトリーバーに見えるが、ラブラドルレトリーバーとは言い切れないような、
なんだか切れの悪いラブラドルレトリーバーだった。
大体、こんな所で純血の犬が飼われているはずがない、と思うような場所だったこともある。
顔の両側に、顔と同じくらいの大きさの耳が垂れていた。
耳・顔・耳、というバランスである。
仔犬たちは、小さな三角の耳が立っていたが、成長するにつれ、
耳は大きくなり、垂れてきて、あの犬そっくりになっていった。
やはりあいつが父犬だったのだろう。
そして、白地だったところに、斑が出てきた。
真っ白できれいだった足に、ぷちぷちと細かい茶色の点がどんどん浮き出てきたのだ。
なんとかスパニエルとか、セッターとか、そんな感じの点々だ。
そして全体的に、洋風の猟犬のような見栄えになった。
雑に織り交ざった結果、なんだか恰好がついたのだ。
きょうだい2匹を連れていると、よく犬種を聞かれたものだ。
「ただの雑種です。」
※
しかし、行動にも明らかな猟犬の習性が現れた。
獲物を捕らえる遊びが大好きだ。
ボールを投げれば追いかける。
獲物を探す遊びも大好きだ。
ボールをわざと草むらの中に投げる。
猟犬にも様々な種類があり、それぞれに特性がある。
飼い主が撃ち落とした鳥を、落ちた場所に探しに行って拾って来るもの、
獲物を見つけたら方向を知らせるもの、
獲物を狙ったら追い続けるもの、
巣穴を探して獲物を引っ張り出して来るもの、
などなど。
我が犬の見た目はポインターによく似ている。
川っぷちに連れて行ったら、鴨を見つけた。
前足を片方、折り曲げて上げて、鴨の方向へ前のめりになって、
じっと見つめて微動だにしない。
これがポイントの姿勢だ。
よしよし。でも私は銃猟はしないのだよ。
※
犬の友だちの飼い主さんが言う。
「川っぷちに行くと、バードウォッチングの人がいて、迷惑かけちゃうから困る。」
ゴールデンレトリーバーである。
鳥を追うのも、川に入るのも大好きだ。
鳥の写真を撮ろうとしている人は、鳥を刺激しないように神経を使っている。
少し離れたところから、大砲のようなレンズで鳥を狙っている。
大きな声を出したり、ましてや近付いたり駈け寄ったりしたら、台無しだ。
そこにゴールデンレトリーバー。たしかに迷惑をかけるだろう。
近くの野川には、カワセミがいる。
カワセミは、水面ぎりぎりの土手に、巣穴を作る。
その周辺を自分のテリトリーとする。
木の低い枝から水の中をじっと狙い、飛び降りて魚を襲う。
カメラマンたちは、そんなシャッターチャンスをずっと待ち構えているのだ。
森のほうへ行けば、今度はオオタカを観察する人がいる。
神代植物園や周辺の木に営巣することがあるのだ。
散歩していると、ふと道端に人が立っていたり座り込んでいたりして、
びっくりする。
びっくりしてうっかり声なんか上げると、鳥が逃げてしまって、ご迷惑をかけることになる。
犬の友だちの飼い主さんは、あるとき、そんなバードウォッチャーに声をかけてみた。
「何がいるんですか?」
「鳥。」
断っておくが、その飼い主さんは、かなり感じの良い人だ。
その人に対して、「鳥。」
よほど声を出したくないとお見受けする。
いやー、それはわかってるけど…、と心の中でつぶやき、それ以上は聞けなかったと言う。
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