犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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猟犬たち

2018年02月11日 | 犬と暮らす
我が犬は、雑種である。
母犬は白地に茶斑で、立ち耳だが片耳が途中で垂れて、
尻尾は軽く巻いていた。
和洋折衷の何だかわからない雑種であった。

母犬が暮らしていた場所の近くを車で通ったら、
ラブラドルレトリーバーらしい犬がいた。
一緒に見に行った人と、あいつが父犬ではないか、と話し合った。
ラブラドルレトリーバーに見えるが、ラブラドルレトリーバーとは言い切れないような、
なんだか切れの悪いラブラドルレトリーバーだった。
大体、こんな所で純血の犬が飼われているはずがない、と思うような場所だったこともある。
顔の両側に、顔と同じくらいの大きさの耳が垂れていた。
耳・顔・耳、というバランスである。

仔犬たちは、小さな三角の耳が立っていたが、成長するにつれ、
耳は大きくなり、垂れてきて、あの犬そっくりになっていった。
やはりあいつが父犬だったのだろう。

そして、白地だったところに、斑が出てきた。
真っ白できれいだった足に、ぷちぷちと細かい茶色の点がどんどん浮き出てきたのだ。
なんとかスパニエルとか、セッターとか、そんな感じの点々だ。

そして全体的に、洋風の猟犬のような見栄えになった。
雑に織り交ざった結果、なんだか恰好がついたのだ。
きょうだい2匹を連れていると、よく犬種を聞かれたものだ。
「ただの雑種です。」



しかし、行動にも明らかな猟犬の習性が現れた。
獲物を捕らえる遊びが大好きだ。
ボールを投げれば追いかける。
獲物を探す遊びも大好きだ。
ボールをわざと草むらの中に投げる。

猟犬にも様々な種類があり、それぞれに特性がある。
飼い主が撃ち落とした鳥を、落ちた場所に探しに行って拾って来るもの、
獲物を見つけたら方向を知らせるもの、
獲物を狙ったら追い続けるもの、
巣穴を探して獲物を引っ張り出して来るもの、
などなど。

我が犬の見た目はポインターによく似ている。
川っぷちに連れて行ったら、鴨を見つけた。
前足を片方、折り曲げて上げて、鴨の方向へ前のめりになって、
じっと見つめて微動だにしない。
これがポイントの姿勢だ。
よしよし。でも私は銃猟はしないのだよ。



犬の友だちの飼い主さんが言う。
「川っぷちに行くと、バードウォッチングの人がいて、迷惑かけちゃうから困る。」
ゴールデンレトリーバーである。
鳥を追うのも、川に入るのも大好きだ。

鳥の写真を撮ろうとしている人は、鳥を刺激しないように神経を使っている。
少し離れたところから、大砲のようなレンズで鳥を狙っている。
大きな声を出したり、ましてや近付いたり駈け寄ったりしたら、台無しだ。

そこにゴールデンレトリーバー。たしかに迷惑をかけるだろう。
近くの野川には、カワセミがいる。
カワセミは、水面ぎりぎりの土手に、巣穴を作る。
その周辺を自分のテリトリーとする。
木の低い枝から水の中をじっと狙い、飛び降りて魚を襲う。
カメラマンたちは、そんなシャッターチャンスをずっと待ち構えているのだ。

森のほうへ行けば、今度はオオタカを観察する人がいる。
神代植物園や周辺の木に営巣することがあるのだ。
散歩していると、ふと道端に人が立っていたり座り込んでいたりして、
びっくりする。
びっくりしてうっかり声なんか上げると、鳥が逃げてしまって、ご迷惑をかけることになる。

犬の友だちの飼い主さんは、あるとき、そんなバードウォッチャーに声をかけてみた。
「何がいるんですか?」
「鳥。」

断っておくが、その飼い主さんは、かなり感じの良い人だ。
その人に対して、「鳥。」
よほど声を出したくないとお見受けする。
いやー、それはわかってるけど…、と心の中でつぶやき、それ以上は聞けなかったと言う。

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