犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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図書悦

2014年08月20日 | よみものみもの
子どもの頃は物語を、十代は文学作品を、ずいぶん読んだ。

二十代はバンド活動に精を出して本を読む量が減り、
三十代は鬱的気分で本を読む集中力を失っていた。

四十を過ぎて、実家に戻って、自分を取り戻したような
気持ちになっているうちの一つに、読書量があると思う。
実家は本だらけだ。
壁という壁は本棚に覆われている。
地震が起きれば、安全でいられる部屋など無い。

人間が作った文物よりも、
天然の物事のほうが当たり前だが遥かに深遠である。
そういう思いがあって、文学作品からは離れて、
自然科学を扱う本を読む方が増えていた。

とはいえ、たまにはなにか痛快なお話でも読みたい、
奇想天外な小説を読みたい、と思って、
図書館で、松浦理英子さんの『犬身kensin』を手に取った。

どんな物語なのか、まったく知らずに借りた。
松浦さんの作品は、今までに『親指Pの冒険』と『セバスチャン』
くらいしか読んだことがないはずだ。

が、松浦作品を選んだのは大正解だった。
フェチズムに近いようなちょっと執拗な感覚についての描写や、
犬という題材や、登場するロックやファンクの楽曲などが
私の好みだということは措いても、
話の筋そのものが、期待どおりに奇想天外であった。

よろこびの時間を与えてくれる、読み終えたくない本だ。

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