犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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平成ぽんぽこの闘い

2012年02月20日 | イキモノタチ
10時頃、一階の部屋のすぐ前、
1mほどで池になる芝生の上に、寝ているのを見つけた。

ハゲちょろけの、狸である。

これは、一昨日見たのと同一動物であろう。

一昨日の昼間。
サンルームで犬がやたらと吠える。

どうせ猫が通るのだろう、と庭を見ると、
案の定、池の向こうをお隣のトラちゃんが通り抜けて行く。
と見るが、
オヤ?

よく見ると、似た色だが、
鼻先は黒く尖っており、尻尾はハゲて先がとがるほどだ。

分かりにくいが、狸だ。


あの、狸だ。

今日の明るい陽射しを浴びるためか、
池と家の間に1mほどの幅で植えた芝生に、寝ている。

いや、見付けた時は、「死んでいる」と思ったのだ。

一昨日見た時にも知らせた、ご近所同級生に早速メールを打っている
間に、肋骨が浮くのが見えた。

息をしている。


それから、長い一日が始まった。


手足と顔の、短い毛の生えている所以外は、
ひどい皮膚病で禿げて、肌はゴワゴワ、
腹側に柔らかい肌が残っているのも露で却っていたましい。

今日の午後は、師匠の臨床を見学する月一回の日だが、
これを見捨てては行って、帰宅したらナンゾなことになっていたら
ずいぶん後悔するだろうと考え、師匠にメールした。

[確かに]というタイトルの返事が、しばらくすると返ってきた。
「生命に敬意をはらうことは、なによりまして重要なことです。
〈中略〉
必要なことをしてあげて下さい。須山さんのできることすべてを。
〈略〉」
と。
最後には、離れた所から治療点も診断して、知らせてくれていた。

私のできることスベテぇ!?


先生が治療点を教えてくれたからにゃあ、
この瀕死の野生動物に鍼を当てねばならん。
刺す鍼ではなく、肌に触れる鍼が有るとは言え、
野生ちゃんはそれすら許してくれんかもしれん。
でも、皮手袋はめて、ええい、儘よ、やるしか無い。


鍼が効を奏したと言うよりは、陽射しの温かさが哺乳類を動かしたの
であろう、11時半頃にはヨタヨタと立ち上がろうとする。
しかし、立とうとしてはまた寝て、足を振るわせている。

午後には、池の脇に置いてある桶によじのぼり、
向こう側に落ちるんじゃないかと心配させる。
抱いてこちらへ戻す。


そして、
夕方には、今までいた場所が日陰になってくる。
まだ日の当たる場所へ、敷地を出て行ってしまう。

夕刊を配達するバイクにもおののいたことだろう。
ウチの郵便受けの下にうずくまる狸のすぐ横には、
ひとかたまりの便と、尿の跡が有った。


陽が落ち、寒さが訪れると、午後の元気は見る見るうちに無くなった。

ひと息ひと息、吐く。
時折、声が出る。


寒い。
30分ほど家の中にいて、また見に出ると、もう呼吸していなかった。

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1 コメント

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Unknown (す~さん)
2013-01-03 01:21:05
つづきをこちらへ書きました。
都市部に棲む野生動物のことを、知っていただけたら嬉しい悲しいです。

http://blog.goo.ne.jp/su-san43/e/fa3c052b192afb6c9d3620f76bd0a4f0
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