30年ちょいと前、二十歳そこそこの頃だったか。
ある編集プロダクションでメッセンジャーのアルバイトをしていたことが有る。
新聞社だとか芸能プロダクションだとか出版社だとか劇場だとかに行って、
宣材写真を借りて来たり、といった、
足が有って最低限の挨拶ができて電車に乗れれば誰でもできる仕事だ。
今はきっとデータのやり取りで済むようなことだろう。
メッセンジャーボーイというところからか、
日本の業界では「少年」と呼ばれる。
私も「少年」と呼ばれていた。
実際のところ私はトランスジェンダーの類なので、ボーイッシュであったから、
まったくただの「少年」だった。
そう呼ばれるべくして呼ばれていた感が有る。
楽しかった。
松竹に行ったら淀川長治さんがいた。ちっこくてかわいいお爺ちゃんだった。
NHKのビルの中は迷路のように複雑な構造だった。テロ対策と聞いた。
私は色々な所へ行くことが好きだ。
仕事として電車に乗り放題に乗れて、東京の様々な会社の中に入れて、
面白かった気持ちは憶えている。
※
「鉄オタのぞみ、50キロ」
最終回は万世橋辺りの風景から始まる。
景色を見てすぐに私は、
交通博物館!
と思う。
幼い頃に連れて行ってもらった。
新幹線こだまの形の貯金箱が今もてもとに有る。
※
主人公の名前はのぞみ。
雑誌「旅と鉄道」編集部の新入社員である。
ドラマの中でのぞみは毎回、どこかへおつかいに出ている。
都内や近郊のあちこちへ行く。
のぞみは毎回ついつい寄り道をする。
帰社が遅いので編集長から電話が毎回かかってくる。
鉄道オタクにとってはたまらないスポットが近くに有ると、
ちょいと足を延ばしたくなってしまうのだ。
「これくらいの鉄分補給は許されるよね。」
と言いつつ、のぞみの欲求はどんどん膨らんでいく。
そこでベルが鳴り、アナウンスが入る。
「エお客様にご案内します。
間もなくのぞみが覚醒します。
エ過剰な鉄分に触れ、抑えきれなくなったのぞみが覚醒します。
エおさがりください、のぞみ発車しま~す。」
ああ楽しい。これがたまらん。
覚醒のぞみは万世橋から秋葉原電気街の中の鉄道模型ショップへと走る。
※
私は鉄オタでもなんでもないのだが、
なんにも考えずに見ていられる、
ただただ楽しいオマケ番組であった。
まーた終わったドラマを紹介して、
なんになるのだろう。
わしゃテレビ東京の回し者か。
ある編集プロダクションでメッセンジャーのアルバイトをしていたことが有る。
新聞社だとか芸能プロダクションだとか出版社だとか劇場だとかに行って、
宣材写真を借りて来たり、といった、
足が有って最低限の挨拶ができて電車に乗れれば誰でもできる仕事だ。
今はきっとデータのやり取りで済むようなことだろう。
メッセンジャーボーイというところからか、
日本の業界では「少年」と呼ばれる。
私も「少年」と呼ばれていた。
実際のところ私はトランスジェンダーの類なので、ボーイッシュであったから、
まったくただの「少年」だった。
そう呼ばれるべくして呼ばれていた感が有る。
楽しかった。
松竹に行ったら淀川長治さんがいた。ちっこくてかわいいお爺ちゃんだった。
NHKのビルの中は迷路のように複雑な構造だった。テロ対策と聞いた。
私は色々な所へ行くことが好きだ。
仕事として電車に乗り放題に乗れて、東京の様々な会社の中に入れて、
面白かった気持ちは憶えている。
※
「鉄オタのぞみ、50キロ」
最終回は万世橋辺りの風景から始まる。
景色を見てすぐに私は、
交通博物館!
と思う。
幼い頃に連れて行ってもらった。
新幹線こだまの形の貯金箱が今もてもとに有る。
※
主人公の名前はのぞみ。
雑誌「旅と鉄道」編集部の新入社員である。
ドラマの中でのぞみは毎回、どこかへおつかいに出ている。
都内や近郊のあちこちへ行く。
のぞみは毎回ついつい寄り道をする。
帰社が遅いので編集長から電話が毎回かかってくる。
鉄道オタクにとってはたまらないスポットが近くに有ると、
ちょいと足を延ばしたくなってしまうのだ。
「これくらいの鉄分補給は許されるよね。」
と言いつつ、のぞみの欲求はどんどん膨らんでいく。
そこでベルが鳴り、アナウンスが入る。
「エお客様にご案内します。
間もなくのぞみが覚醒します。
エ過剰な鉄分に触れ、抑えきれなくなったのぞみが覚醒します。
エおさがりください、のぞみ発車しま~す。」
ああ楽しい。これがたまらん。
覚醒のぞみは万世橋から秋葉原電気街の中の鉄道模型ショップへと走る。
※
私は鉄オタでもなんでもないのだが、
なんにも考えずに見ていられる、
ただただ楽しいオマケ番組であった。
まーた終わったドラマを紹介して、
なんになるのだろう。
わしゃテレビ東京の回し者か。
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