[あらまし] 同居母87歳パーキンソン病ヤール4要介護5認知症状少々。
転倒のおそれが有るので、家の中では段差の有る部屋には入らない、
一人では外出しない、といったヤクソクになっている。
十日ほど前のある日。
昼頃に帰宅した。
家の前に自転車がとめてある。ヘルパーさんが来てくれている。
安心して、家には入らず、庭仕事を始めた。
しばらくすると、玄関の開く音が聞こえ、ヘルパーさんの挨拶する声が聞こえ、
玄関の閉まる音が聞こえた。
ありがとうございました。
2、3分後、
玄関の扉の音がまた聞こえた。
おや?
ヘルパーさんが何か忘れ物でもして取りに戻って来たのだろうか。
だとしたら声を掛けて入っていきそうなものだが、無言だな。
まあいい、もしそうならまた出て行く音が聞こえるだろう。
数分経っても音はしない。
なんだったのだろう。
庭仕事がひと段落ついたし、気にもなるので、玄関へ行ってみる。
と、玄関前に母が立っている。
シルバーカーにつかまって、立っている。
段差を降りた所に立っている。
おやおやおやおや
一人で外に出ないってことになってたでしょ。
「ヘルパーさんを見送ったついでに」
「郵便受けを確かめに」
「近所が見たかった」
リハビリの先生が来てくれた時に一緒に歩いてもらおうね。
週2回の訪問リハビリを受けている。
動きが良かったら外も歩いてみましょう、という相談にはなっている。
しかし、出たくなってしまったら止まらない。
※
室内に洗った服が吊るしてあることがある。
洗った、と言っても、ご本人は洗ったつもりでもきれいになっていない。
しぼったつもりでも、ビショビショである。
吊るすと言っても、高い所には手が届かないので、
椅子の背などに掛けてある。
家具や床が濡れていたむ。
濡れた服が木に触れてしまっているので、シミができる。
レンタルの介護ベッドのマットにも浸みた。
居間から30㎝近い段差が有って、サンルームに続いている。
サンルームから地下室に降りる階段が有る。
その入り口の手すりに干してあることもある。
日当たりが良いからだろう。
※
[あらまし] 飼い犬ジーロ去勢オス14歳9ヶ月慢性腎不全。
サンルームは、犬のお気に入りの居場所だった。
しかし、年老いて足が弱くなり、段差を降りられなくなった。
飛び降りると、ぺちゃっと崩れてしまうのだ。
かわいそうなので、踏み台を作った。
人間のための踏み台だったら幅が25㎝も有れば良いが、
犬が一旦乗れる幅と考えて、60㎝ほどの幅の踏み台を置いた。
しかし、段差に対する恐怖心のほうが勝ってしまい、
老犬ジーロはもう、サンルームに行かなくなってしまった。
※
玄関の外にいた母が家の中に戻るのを見届けた。
気持ちを落ち着け、しばらく自室で過ごした。
夕方、犬の散歩に行こうと階下に降りた。
母の居室になっている居間の戸を開けると、
犬ジーロは目の前にいた。
散歩を待ちわびて、扉の合わせ目を嗅いでいたのだろう。
居間とサンルームとの境目のアルミサッシが閉まっている。
風通しのために開けておいたはずなのだが。
そして、サッシの向こうに母がいる。
おやおやおやおや。
こっちは段差が危ないから降りないことになっていたでしょ。
「ここが好きなの」
「ここから庭が見たい」
庭に面したサッシが開いている。
掃除していたようなので、掃き出すためなのか。
ここを開けているから、犬が出てしまわないように居間との間のサッシを閉めていたわけだ。
転んで骨折したら、入院しなきゃならない、家にもいられなくなってしまいますよ。
「ここから庭が見たい」
かなり強い口調で、促してもなかなか室内に戻ろうとしない。
老犬のために置いた踏み台が、老人のために都合良くなってしまったわけだ。
踏み台の上に、マットを敷いてある。
その上で、母は入念に靴の底を拭いている。
靴底を拭くのは、外出から帰宅した時の習慣だ。
さては…庭へ降りたのだろうか。
もしそうだったら更に腹が立つので、あえて聞かなかった。
※
「地下室に行くことも、ケアマネさんからお許しが出ると思っていた」
と言う。
地下室へ降りる階段は、一段の高さがちょいと大き目だ。
コルクが貼ってあるとは言え、すぐ中はコンクリートで、感触は硬い。
ここを降りるつもりとは。
階段の底に落っこちた母が詰まっているのを見下ろすの図
しか想像できない。
地下室は書庫になっている。
自分の本が見たいのか、何か。
ふだんは目蓋の開きが悪くて「見えない」と言うのに。
高い棚の本に手が届かなかったら
踏み台を使って
ギョエエ
書庫でもあるが、私の楽器の練習場所でもある。
楽器をやらない人は入って来ないという安心感から、
トロンボーンなどもケースから出して置いてある。
薄い板で作ってあるウクレレも置いてある。
そこでゆらりと転倒
ギョエエ
※
ドーパミンが働くと、身体の動きが良くなるのは良いけれど、
意欲も非常に上がる。
過剰であれば「万能感」という状態も引き起こすのがドーパミンの作用だ。
動きが良くなっているとは言え、あくまでパーキンソン病である中での良さなので、
動けるのは転倒のリスクが上がるということとも言える。
どうも、このところ調子が上がっているようだ。
困る。
転倒のおそれが有るので、家の中では段差の有る部屋には入らない、
一人では外出しない、といったヤクソクになっている。
十日ほど前のある日。
昼頃に帰宅した。
家の前に自転車がとめてある。ヘルパーさんが来てくれている。
安心して、家には入らず、庭仕事を始めた。
しばらくすると、玄関の開く音が聞こえ、ヘルパーさんの挨拶する声が聞こえ、
玄関の閉まる音が聞こえた。
ありがとうございました。
2、3分後、
玄関の扉の音がまた聞こえた。
おや?
ヘルパーさんが何か忘れ物でもして取りに戻って来たのだろうか。
だとしたら声を掛けて入っていきそうなものだが、無言だな。
まあいい、もしそうならまた出て行く音が聞こえるだろう。
数分経っても音はしない。
なんだったのだろう。
庭仕事がひと段落ついたし、気にもなるので、玄関へ行ってみる。
と、玄関前に母が立っている。
シルバーカーにつかまって、立っている。
段差を降りた所に立っている。
おやおやおやおや
一人で外に出ないってことになってたでしょ。
「ヘルパーさんを見送ったついでに」
「郵便受けを確かめに」
「近所が見たかった」
リハビリの先生が来てくれた時に一緒に歩いてもらおうね。
週2回の訪問リハビリを受けている。
動きが良かったら外も歩いてみましょう、という相談にはなっている。
しかし、出たくなってしまったら止まらない。
※
室内に洗った服が吊るしてあることがある。
洗った、と言っても、ご本人は洗ったつもりでもきれいになっていない。
しぼったつもりでも、ビショビショである。
吊るすと言っても、高い所には手が届かないので、
椅子の背などに掛けてある。
家具や床が濡れていたむ。
濡れた服が木に触れてしまっているので、シミができる。
レンタルの介護ベッドのマットにも浸みた。
居間から30㎝近い段差が有って、サンルームに続いている。
サンルームから地下室に降りる階段が有る。
その入り口の手すりに干してあることもある。
日当たりが良いからだろう。
※
[あらまし] 飼い犬ジーロ去勢オス14歳9ヶ月慢性腎不全。
サンルームは、犬のお気に入りの居場所だった。
しかし、年老いて足が弱くなり、段差を降りられなくなった。
飛び降りると、ぺちゃっと崩れてしまうのだ。
かわいそうなので、踏み台を作った。
人間のための踏み台だったら幅が25㎝も有れば良いが、
犬が一旦乗れる幅と考えて、60㎝ほどの幅の踏み台を置いた。
しかし、段差に対する恐怖心のほうが勝ってしまい、
老犬ジーロはもう、サンルームに行かなくなってしまった。
※
玄関の外にいた母が家の中に戻るのを見届けた。
気持ちを落ち着け、しばらく自室で過ごした。
夕方、犬の散歩に行こうと階下に降りた。
母の居室になっている居間の戸を開けると、
犬ジーロは目の前にいた。
散歩を待ちわびて、扉の合わせ目を嗅いでいたのだろう。
居間とサンルームとの境目のアルミサッシが閉まっている。
風通しのために開けておいたはずなのだが。
そして、サッシの向こうに母がいる。
おやおやおやおや。
こっちは段差が危ないから降りないことになっていたでしょ。
「ここが好きなの」
「ここから庭が見たい」
庭に面したサッシが開いている。
掃除していたようなので、掃き出すためなのか。
ここを開けているから、犬が出てしまわないように居間との間のサッシを閉めていたわけだ。
転んで骨折したら、入院しなきゃならない、家にもいられなくなってしまいますよ。
「ここから庭が見たい」
かなり強い口調で、促してもなかなか室内に戻ろうとしない。
老犬のために置いた踏み台が、老人のために都合良くなってしまったわけだ。
踏み台の上に、マットを敷いてある。
その上で、母は入念に靴の底を拭いている。
靴底を拭くのは、外出から帰宅した時の習慣だ。
さては…庭へ降りたのだろうか。
もしそうだったら更に腹が立つので、あえて聞かなかった。
※
「地下室に行くことも、ケアマネさんからお許しが出ると思っていた」
と言う。
地下室へ降りる階段は、一段の高さがちょいと大き目だ。
コルクが貼ってあるとは言え、すぐ中はコンクリートで、感触は硬い。
ここを降りるつもりとは。
階段の底に落っこちた母が詰まっているのを見下ろすの図
しか想像できない。
地下室は書庫になっている。
自分の本が見たいのか、何か。
ふだんは目蓋の開きが悪くて「見えない」と言うのに。
高い棚の本に手が届かなかったら
踏み台を使って
ギョエエ
書庫でもあるが、私の楽器の練習場所でもある。
楽器をやらない人は入って来ないという安心感から、
トロンボーンなどもケースから出して置いてある。
薄い板で作ってあるウクレレも置いてある。
そこでゆらりと転倒
ギョエエ
※
ドーパミンが働くと、身体の動きが良くなるのは良いけれど、
意欲も非常に上がる。
過剰であれば「万能感」という状態も引き起こすのがドーパミンの作用だ。
動きが良くなっているとは言え、あくまでパーキンソン病である中での良さなので、
動けるのは転倒のリスクが上がるということとも言える。
どうも、このところ調子が上がっているようだ。
困る。
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