犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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自宅発掘報告 硯箱篇

2018年03月16日 | 書の道は
[あらすじ] 家の北側に、地下室がある。
半分は亡父が自分で掘って自分でモルタル壁を作った。
残り半分は業者に入ってもらって、完成させた。
湿気がひどく、保管していた本がカビてしまった。
一昨年、よく見たら、亡父の作った部分から雨漏りがするのだった。
モルタルというより、モロ垂ル壁だ。


ちょいと、一旦話を地下室に戻そう。

漏れる側の壁面に置いていた本箱は、全て撤去してある。
モルタル壁が剥き出しになっていて、殺風景で寒々しい。
ここに珪藻土を塗ろう。
というわけで、下地材を塗った。
塗っていても、いかにモルタルがスカスカか、分かる。
表面も、気泡によってできた穴だらけなのだ。

30㎝ほどの幅ずつ、壁を継ぎ足していっている。
次に上の30㎝分を注いだら、前のとよく繋がるように、突いていた記憶がある。

あの、突き方がいけなかったのではないか。
却って気泡を作ってしまっていたのではないか。

住宅建築が仕事の友人Mが、
「叩くようにして気泡を出す」のだと言っている。
叩いていた気がしない。



業者が作った部分は、しっかりしている。
表面から見ても滑らかだ。
セメントの質が違うのだろう。色も違う。

その、部屋の無事な側の本箱は、半透明のシートをかぶせて養生してある。
工事が終わってとっくに1年経つ今も、そのままほったらかしだ。
シートが破れた部分を、別の白いシートで補強してあったりする。

床に掃除機をかけながら、ちょいとそのシートをめくった。
すると、本棚の中に、本ではない物がある。
黒い箱だ。



黒い箱は木箱で、手前に持ち手が見えている。
手にしてみると、箱はずっしりと重い。

大きさと重さから、「金庫か?」と思った。
しかし、金庫を持つような家ではない。
そんな貴重品は持たないし、持っていたとしても金庫に入れるなどしない。

なんだろう、と向きを変えたら、答が書いてあった。
「端渓」

タンケイ!
中国の最高級の硯の産地だ。

たたたたんけいが、うちにある。

箱は、一瞬どうやって開ければいいのか分からないくらい、
ぴったりと細工されている。
「端渓」と書いてある部分が蓋になっていて、きれいに溝に入っているのだ。
そっと上にずらすと、すっと蓋は動いた。

中は二段になっている。
うっすらとカビのにおいがした。
各段、お雛様の乗っかってるような台の上に、弁当箱くらいの木の箱が入っている。
弁当箱などと例えたが、それはきっと紫檀か何かで作ってあるのだろう、美しい箱だ。

手に取ると、ずっしりと重い。

興奮と緊張をもって、蓋を開ける。

つづく

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