犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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追悼 畑中純

2012年09月04日 | よみものみもの
昨日は、地元調布のギャラリーみるめ、畑中純展の最終日へ。

ハゲっちょろけになった写真が飾ってあり、
客が持って来たとみえるいくつかお供えがしてある。
涙をこらえる。

壁にはたくさんの作品。
テーブルには水彩画やペン画のファイル。
たくさんの追悼記事のコピー。
初出雑誌も手に取って見られる。

一番大きい壁には、一面に、良太鬼の組絵。
調布の公民館たづくりで1998年に版画展を開いた時のものだ。

たづくりでのサイン会の時、マンサンコミックスの
『まんだら屋の良太』24巻を持って行った。
町角で着物の月子が履物を直すところを良太犬が見上げている版画。
深い緑が基調で、犬の黄土色が明るく、帯の赤が映える。
(見ないで書いているので、間違っているかもしれない)

これが一番好きだから持って来たのだ、と言うと、
畑中さん自身もこれは気に入りだと言う。
この頃の巻はどの表紙も美しい。

それから、2冊にサインをしてもらいながら、
どれくらいしゃべったのだろう。
次の人を待たせる短い間に、
出版業界のこと、マンガの性表現のこと、賞のこと、
水木しげるさんやつげ義春さんのこと、
おすすめの川遊びスポットのことから庭の水撒きの話までしたのだ。

また遊びにおいで、と言われ、あと2回あるサイン会を楽しみに
していたが、風邪を引いて行かれなかった。

その後、たづくりでは展覧会は無く、ある時、水道メーターの検針の仕事中に
ギャラリーみるめでやっているのを見付けたのだ。
だが、その時は大学に教えに行っていて会えなかった。

なんてなことを、会場で来るお客さん来るお客さんに挨拶している
奥さんに、話してみた。
なんでも、無口な人だったのが、四十過ぎた頃に
林静一さんと呉智英さんと鼎談したら、しゃべるのが楽しくなったらしく、
よく話す人にガラリと変わったのだそうな。

石巻の、石ノ森漫画館の入口の壁に、マンガ家たちの手形がある。
その中に、ひときわ大きいのは初代仮面ライダーの藤岡弘、
これは別格として、マンガ家の中で一番大きく厚い手は、
間違いなく畑中さんのものであった。

多作な人であった。
たくさんのマンガ、版画、ペン画、水彩。
良い形で残って行って欲しい。

もう一度会っておしゃべりしたかった。

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