[あらまし] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。
昼に介護に入ってくれた介護士さんから電話が来た。
「朝9時前に転倒なさったそうで、
頭などを強く打っています。
整形外科に連れて行って欲しいそうです。」
おやおやおや。
私が家を出たのは9時過ぎで、出る前に母は見ている。
フツウに歩いていた。
すぐに言わなかったが、やっぱり痛くて不安で受診したくなったのか。
しかし直後に自力で立って歩いていたくらいなので、
骨折などは無いだろう。
整形外科に用は無さそうだ。
頭を打っていて、問題が有るほどならば画像診断の必要が有る。
出血が脳みそを圧迫してしまうからだ。
転倒で注意すべきは硬膜下血腫で、ゆっくりとたまるから
数日後に症状が出る場合も有る。
「たんこぶができていれば大丈夫」というのはあまりアテにならない。
同時に奥部でも出血していたら、問題は起こる。
はてさて。
とにかく、一旦帰宅します。
※
急いで帰宅してみると、母はベッドでおとなしくしている。
うむ。おとなしくしておれ。
額に保冷剤を載せている。
うむ。冷やしおれ。
枕元に、
「頭部を打撲した場合の注意」
というA4のプリントが置いてある。
1年半前に室内で転倒して頭のてっぺんから血を垂らしながら掃除をしていて、
夜間に隣の隣の隣の市の病院まで行って、何針だかホッチキス止めした、
その時にもらったプリントだ。
いいですか。
これは、これからこんなことが起こるよ、という意味ではなくて、
ここに書いてあるようなことが無ければ大丈夫だよ、という意味ですよ。
これから読みあげる7つのことが無ければ、ただのたんこぶばあさんです。
1.頭痛がだんだんひどくなる。
「さっきより痛い気がする。」
それは頭痛というんじゃなくて、打ち身の痛さじゃない?
腫れてんだからある程度は痛みます。
2.吐き気がする。
「ない。」
無いね。
3.めまいがしたりふらついたりする。
「ふらふらする。」
それはいつものだね。
「はい。」
4.ぼんやりしたり、眠ってしまったりする。
「眠りがちです。」
しっかり会話できているので、意識状態は良いです。
「はい。」
5.物が二重に見えたり、よく見えなかったりする。
「はい。」
それはいつもの複視と目蓋の問題ね。
「はい。」
6.手足が動かしにくかったり、しびれたりする。
「ときどき右手の指先がしびれる。」
それはいつものね。
「はい。」
7.痙攣する。
「ない。」
はい、全部無し。大丈夫、たんこぶ。
ただ、こういうことが急に起きてくる、ということも無くはない。
それはその時にすぐ病院に行けるようにしておくから。
※
30分後、毎週の予定どおりに、理学療法士さんが訪問に来た。
ちょうどいい。
家に入る前に私は状況を説明して、さらに、
どうやって転んだか聞き出すようにお願いした。
私が聞くと、格好を付けたりごまかしたりするので、事実がはっきりしないのだ。
※
母は、片手で椅子の肘掛けにつかまって、もう一方の手で
2mほど向こうの浴室に向かって靴下を投げた。
その勢いでバランスを崩して、転倒したのだそうだ。
※
しっかり触れて、
「骨折は無いです。」
とお墨つきを頂いた。
「ただ、ここに書いてあるようなことが起きるおそれも有るので」
仕事で関わっている以上、「おそれが有る」という言い回しになるのは仕方ないと思う。
しかし、そう聞くと母はおそれてしまう。起きていないことを恐れ、
じっとしているだけに不安が募り、別の苦しさが加わる。
「しんどい。」
と言う。
あのね。
室内で転んで、みなさん骨折するんです。
お友達もそうでしょ?
NさんもSさんも大腿骨頸部骨折とかして、入院てことになってる。
でも、母は骨が丈夫で、これくらいでは骨折しないし、入院にも至らない。
しんどくないのよ、骨折して入院してる人たちに比べたら。
こういう言い方は失礼かもしれないけど。
骨が丈夫なことに感謝だわね。
「そうなの、母親ゆずりで。」
※
翌朝、
「今日のデイサービスはお休みしたい。」と言う。
デイサービスの間は、掃除のチャンスだ。
転倒が有ったということは身体の動きが良くはないということで、
ということは、台所はけっこうメチョメチョに汚れている。
なんかにおうし。
はー。出かけて欲しい。
しんどいの苦しいの不安のと、暗黒メッセージを朝から山ほど聞かされて
私も吐き気がするほど気が沈む。
犬の散歩をしながら、どうやってデイサービスに行く気にさせるか、
言い回しを考えた。
※
帰宅すると、椅子に腰かけてテーブルに向かって、
また何やら書類を整理している。
「やってみているの。」
積極的な気分になっているようだ。チャーンス
昨日のおさらいをし、新たな症状が無いのだからただのたんこぶばあさんで大丈夫なのだ、
と念を押し、
介護の目の有る場所で休んでくれると私も安心だ、
などとなだめすかす。
効いた。
行く、と言う。ヤホー
「じゃあ準備しなきゃ。」なんて言っている。
調子いいじゃねえか。
いってらっしゃい。
※
慢性硬膜下血腫にはくれぐれもご注意ください。
昼に介護に入ってくれた介護士さんから電話が来た。
「朝9時前に転倒なさったそうで、
頭などを強く打っています。
整形外科に連れて行って欲しいそうです。」
おやおやおや。
私が家を出たのは9時過ぎで、出る前に母は見ている。
フツウに歩いていた。
すぐに言わなかったが、やっぱり痛くて不安で受診したくなったのか。
しかし直後に自力で立って歩いていたくらいなので、
骨折などは無いだろう。
整形外科に用は無さそうだ。
頭を打っていて、問題が有るほどならば画像診断の必要が有る。
出血が脳みそを圧迫してしまうからだ。
転倒で注意すべきは硬膜下血腫で、ゆっくりとたまるから
数日後に症状が出る場合も有る。
「たんこぶができていれば大丈夫」というのはあまりアテにならない。
同時に奥部でも出血していたら、問題は起こる。
はてさて。
とにかく、一旦帰宅します。
※
急いで帰宅してみると、母はベッドでおとなしくしている。
うむ。おとなしくしておれ。
額に保冷剤を載せている。
うむ。冷やしおれ。
枕元に、
「頭部を打撲した場合の注意」
というA4のプリントが置いてある。
1年半前に室内で転倒して頭のてっぺんから血を垂らしながら掃除をしていて、
夜間に隣の隣の隣の市の病院まで行って、何針だかホッチキス止めした、
その時にもらったプリントだ。
いいですか。
これは、これからこんなことが起こるよ、という意味ではなくて、
ここに書いてあるようなことが無ければ大丈夫だよ、という意味ですよ。
これから読みあげる7つのことが無ければ、ただのたんこぶばあさんです。
1.頭痛がだんだんひどくなる。
「さっきより痛い気がする。」
それは頭痛というんじゃなくて、打ち身の痛さじゃない?
腫れてんだからある程度は痛みます。
2.吐き気がする。
「ない。」
無いね。
3.めまいがしたりふらついたりする。
「ふらふらする。」
それはいつものだね。
「はい。」
4.ぼんやりしたり、眠ってしまったりする。
「眠りがちです。」
しっかり会話できているので、意識状態は良いです。
「はい。」
5.物が二重に見えたり、よく見えなかったりする。
「はい。」
それはいつもの複視と目蓋の問題ね。
「はい。」
6.手足が動かしにくかったり、しびれたりする。
「ときどき右手の指先がしびれる。」
それはいつものね。
「はい。」
7.痙攣する。
「ない。」
はい、全部無し。大丈夫、たんこぶ。
ただ、こういうことが急に起きてくる、ということも無くはない。
それはその時にすぐ病院に行けるようにしておくから。
※
30分後、毎週の予定どおりに、理学療法士さんが訪問に来た。
ちょうどいい。
家に入る前に私は状況を説明して、さらに、
どうやって転んだか聞き出すようにお願いした。
私が聞くと、格好を付けたりごまかしたりするので、事実がはっきりしないのだ。
※
母は、片手で椅子の肘掛けにつかまって、もう一方の手で
2mほど向こうの浴室に向かって靴下を投げた。
その勢いでバランスを崩して、転倒したのだそうだ。
※
しっかり触れて、
「骨折は無いです。」
とお墨つきを頂いた。
「ただ、ここに書いてあるようなことが起きるおそれも有るので」
仕事で関わっている以上、「おそれが有る」という言い回しになるのは仕方ないと思う。
しかし、そう聞くと母はおそれてしまう。起きていないことを恐れ、
じっとしているだけに不安が募り、別の苦しさが加わる。
「しんどい。」
と言う。
あのね。
室内で転んで、みなさん骨折するんです。
お友達もそうでしょ?
NさんもSさんも大腿骨頸部骨折とかして、入院てことになってる。
でも、母は骨が丈夫で、これくらいでは骨折しないし、入院にも至らない。
しんどくないのよ、骨折して入院してる人たちに比べたら。
こういう言い方は失礼かもしれないけど。
骨が丈夫なことに感謝だわね。
「そうなの、母親ゆずりで。」
※
翌朝、
「今日のデイサービスはお休みしたい。」と言う。
デイサービスの間は、掃除のチャンスだ。
転倒が有ったということは身体の動きが良くはないということで、
ということは、台所はけっこうメチョメチョに汚れている。
なんかにおうし。
はー。出かけて欲しい。
しんどいの苦しいの不安のと、暗黒メッセージを朝から山ほど聞かされて
私も吐き気がするほど気が沈む。
犬の散歩をしながら、どうやってデイサービスに行く気にさせるか、
言い回しを考えた。
※
帰宅すると、椅子に腰かけてテーブルに向かって、
また何やら書類を整理している。
「やってみているの。」
積極的な気分になっているようだ。チャーンス
昨日のおさらいをし、新たな症状が無いのだからただのたんこぶばあさんで大丈夫なのだ、
と念を押し、
介護の目の有る場所で休んでくれると私も安心だ、
などとなだめすかす。
効いた。
行く、と言う。ヤホー
「じゃあ準備しなきゃ。」なんて言っている。
調子いいじゃねえか。
いってらっしゃい。
※
慢性硬膜下血腫にはくれぐれもご注意ください。
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