犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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草書の中の隷味

2017年03月19日 | 書の道は
[あらすじ] 10月から書を独習し始めた。
かの北大路魯山人は、日下部鳴鶴に「隷書は後でやるもんだ」と言われて納得できず、
習うのをやめた。

楷書は書体の中では、新しく成立したものである。
草書や行書は楷書を崩したものだと思われがちで、私もそうだと思っていたがこれは間違い。
隷書を崩したものなのである。
草書を理解するには隷書を知っておくこと。


書を始めた目的のひとつに、草書があった。
草書が読めるようになりたい。
そのためには書くのが良さそうだ。
そう思って書いてみたが、やはり何がなんだかわけがわからない。

楷書-行書-草書とちょっとずつ練習した頃に上記のようなことが分かってきて
隷書にさかのぼって習い、
ということは隷書を理解するためには篆書も練習せにゃ、と篆書やって
勢い金文や甲骨文も少し練習し、
そこからまた時代を降って行ってみた。

秦や漢つまり古い時代の木簡の隷書をやった。
木簡はもう少し後の時代のものになると、章草という形が出てくる。
役人の走り書きなので、字がとても略してある。
そのくせ隷書独特の波磔という、右払いが残っている。

筆をちょいとひねりながら、穂をぐいと開く。
ひらひらと字に尾ひれが付く。

孫過庭の「書譜」を臨書していると、この、木簡の章草の波磔が
ちらほらと登場する。
隷書を先に練習していなかったら、こんなことは分からなかったし、
どうやって書けば良いかも分からなかっただろう。

左上から時計回りで、木簡の草書の手本、木簡の隷書の臨書、
木簡の草書の臨書、右下が書譜の臨書、
指差しているのが書譜の草書の中の隷味ある波磔。

異国の雑踏の中でおさななじみにばったり出くわしたような、
ほっとした気持ちで私はのびのびと波磔を書く。

「隷書は後からやるもんだ」なんて指導は、
私も納得がいかない。

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