犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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松島~気仙沼

2014年05月29日 | 椰子の実の中
奥松島が好きでしてね。

平たい田を仕切るような感じに、低い岩の丘が並ぶ。
丘と丘の間の谷戸には葦が生えるが、その谷戸の出口は海に続く。

なだらかさ、谷戸の感じが多摩に通じるので、好きなのかもしれない。

考えてみれば、丘陵地帯の地形も、海岸の地形も、同じことだ。
そして、この地形が津波を内陸へと走らせているわけだ。
そういえば、山間でも、お大尽は高い所に住む。



平たい場所ならともかく、ちょっと狭い谷の形だと、
すぐに孤立してしまうわけだ。
女川しかり、雄勝しかり。



雄勝の硯職人に、10年ぶりに会った。

以前は堤防のすぐ内側に店舗を構えていたが、
今は道を挟んだ高い場所に小さな小屋を建てて、そこで営業している。

そこはもともと自分の育った家が建っていた場所で、
その家は400年続いていたという。

では400年前とは何かというと、
1611年12月に、地震と津波があったのだ。
その津波の影響で、遠藤家はその高さに移り住んだという。

最近では1933年(昭和8年)に津波があった。
この時も、400年前と同じ5mほどだった。
今までの堤防の高さの根拠はこれだ。

今回は18m。わけが違う。

海際にあったエンドーすずり館は、跡形も無い。
雄勝の町全体が、跡形も無い。
雄勝の硯文化が、跡形も無くなってしまわぬように、
手助けが必要だ。

津波に流されたおよそ600世帯のうち、
この町に戻って住むのは1割程度だということだ。
それも、高齢者が多い。
ほんの20年後を考えただけでも、ここの町とこの町の文化は
消えていってしまう。



小さな入り江に、それぞれに生活がある。
港があり、作業場があり、家々があり、神社がある。
身を寄せ合い生きてきた。

津波は今回が初めてのことではない。
ただ、時代という問題がある。
海にこだわらずとも他の土地でも暮らしができることを
人々は知ってしまっている。



一次産業は、国の胃袋を満たし、国の活力の源となる。
大事にしないと、国が倒れちゃうよ?
何よりも優先して強化すべき部分だと思う。

腹がふくれてこそ、文化も栄えるというものだ。

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