[あらすじ] netflix配信番組『ル・ポールのドラァグレース』シーズン11の
イーヴィー・オドリーの決勝ステージがスゴい。
https://www.youtube.com/watch?v=TObL0JBy6cU
リップシンクは早い話が口パクなのだが、
衣装や振り付けなどのアイディアが練り上げられた時にそれは
ただ口の動きを合わせているだけのものではなくなる。
ドラァグクイーンショーという文化が
ゲイクラブという場だけに限られているなら、
猛烈に残念な損失だと思う。
何かの媒体で広く見られるようになったら良い。
自分が見たいだけ、ってんじゃない。
こんな芸を知らない人が多いのは、本当にもったいない。
※
私が初めてドラァグクイーンのリップシンクを見たのは、
バビ江ノビッチさんだった。
たいへん幸福な初体験だったと言える。
20年くらい前の、外語祭でのことだ。
毎年11月19日~23日に開催される、東京外国語大学の学祭だ。
当時まだバビ江さんは学籍を置いていた。
LGBTサークルが、教室でショーを開いていた。
入場料はたしか500円だったと思う。
学祭の教室ショーの入場料としては、高価なほうだったのだと思う。
しかし、本物のドラァグクイーンショーを見るには格安であった。
バビ江さんは既にクラブに出演し、一定の評価を得ていたはずだ。
40人くらいの授業のための小さな教室で、
教壇をささやかなステージにして、客は床に直接座った。
一曲目は『Raga#3』だった。
本家のユーミンに勝るとも劣らない絢爛な衣装に身を包み、
バビ江さんが登場する。
あっという間に世界に引き込まれる。
教室の冷たい床に体育座りしていることなんて忘れる。
※
曲の合間にバビ江さんがマイクを手にして一言話し始めたら、
客席から笑いが起きた。
「え?なに?」とバビ江さんは不思議そうだった。
ドラァグクイーンショーを見るのは初めて、というお客さんも多かった。
なんなら、女装の人を見るのは初めて、とか
なんだったら、ゲイの人に会うのは初めて、なんて思っている人も
多くいたのかもしれない、と私はひそかに思う。
きらびやかな衣装で艶やかに踊っていた人が、
しゃべったらオッサンの声で、ついつい笑ったのではないか。
まあ、20年前のことですからね。
※
その頃の外語祭でのステージは、
バビ江ノビッチ、angel jusqu'o、メイリー・ムー
という三人組でのショーが多かった。
いや、多かったかどうか分からないが、
私はこの三人組のショーがとびきり好きだった。
妖艶な身のこなしのエンジェル・ジャスコ、キレよく踊るが儚げなメイリー・ムー、
三人三様の魅力を、バビ江さんの力量でまとめあげているように見えた。
リップシンクつまり口パクの曲が続く中、
メイリーさんが一人でステージに出てきた。
何か、昭和の歌謡曲がかかった。
あれ?これ、歌ってるよね⁉
ドラァグクイーンショーを初めて見て
「あれ?これ、歌ってないよね⁉
歌ってないよねえ?
ほーら歌ってないじゃーん」
となるなら分かるが、
この時は
「あれ?これ、歌ってるよね⁉」
となった。
きれいな歌声であった。
※
最近になって、メイリーさんの歌を聴くことができるようになって、
私はとても嬉しい。
ギャランティーク和恵さん、ミッツ・マングローブさんとのコーラストリオ、
星屑スキャットで活動しているからだ。
これまた三人三様の声質なのだが、
集まると絶妙のハーモニーを生み出す。
聴いて
https://www.youtube.com/watch?v=8cuy-bw4PZ8
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