犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
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メイリー・ムー賛江

2021年03月17日 | よみものみもの

[あらすじ] netflix配信番組『ル・ポールのドラァグレース』シーズン11の
イーヴィー・オドリーの決勝ステージがスゴい。
https://www.youtube.com/watch?v=TObL0JBy6cU

リップシンクは早い話が口パクなのだが、
衣装や振り付けなどのアイディアが練り上げられた時にそれは
ただ口の動きを合わせているだけのものではなくなる。

ドラァグクイーンショーという文化が
ゲイクラブという場だけに限られているなら、
猛烈に残念な損失だと思う。
何かの媒体で広く見られるようになったら良い。
自分が見たいだけ、ってんじゃない。
こんな芸を知らない人が多いのは、本当にもったいない。



私が初めてドラァグクイーンのリップシンクを見たのは、
バビ江ノビッチさんだった。
たいへん幸福な初体験だったと言える。

20年くらい前の、外語祭でのことだ。
毎年11月19日~23日に開催される、東京外国語大学の学祭だ。

当時まだバビ江さんは学籍を置いていた。
LGBTサークルが、教室でショーを開いていた。
入場料はたしか500円だったと思う。

学祭の教室ショーの入場料としては、高価なほうだったのだと思う。
しかし、本物のドラァグクイーンショーを見るには格安であった。
バビ江さんは既にクラブに出演し、一定の評価を得ていたはずだ。

40人くらいの授業のための小さな教室で、
教壇をささやかなステージにして、客は床に直接座った。

一曲目は『Raga#3』だった。
本家のユーミンに勝るとも劣らない絢爛な衣装に身を包み、
バビ江さんが登場する。
あっという間に世界に引き込まれる。
教室の冷たい床に体育座りしていることなんて忘れる。



曲の合間にバビ江さんがマイクを手にして一言話し始めたら、
客席から笑いが起きた。
「え?なに?」とバビ江さんは不思議そうだった。

ドラァグクイーンショーを見るのは初めて、というお客さんも多かった。
なんなら、女装の人を見るのは初めて、とか
なんだったら、ゲイの人に会うのは初めて、なんて思っている人も
多くいたのかもしれない、と私はひそかに思う。

きらびやかな衣装で艶やかに踊っていた人が、
しゃべったらオッサンの声で、ついつい笑ったのではないか。

まあ、20年前のことですからね。



その頃の外語祭でのステージは、
バビ江ノビッチ、angel jusqu'o、メイリー・ムー
という三人組でのショーが多かった。
いや、多かったかどうか分からないが、
私はこの三人組のショーがとびきり好きだった。

妖艶な身のこなしのエンジェル・ジャスコ、キレよく踊るが儚げなメイリー・ムー、
三人三様の魅力を、バビ江さんの力量でまとめあげているように見えた。

リップシンクつまり口パクの曲が続く中、
メイリーさんが一人でステージに出てきた。
何か、昭和の歌謡曲がかかった。

あれ?これ、歌ってるよね⁉

ドラァグクイーンショーを初めて見て
「あれ?これ、歌ってないよね⁉
歌ってないよねえ?
ほーら歌ってないじゃーん」
となるなら分かるが、
この時は
「あれ?これ、歌ってるよね⁉」
となった。

きれいな歌声であった。



最近になって、メイリーさんの歌を聴くことができるようになって、
私はとても嬉しい。
ギャランティーク和恵さん、ミッツ・マングローブさんとのコーラストリオ、
星屑スキャットで活動しているからだ。

これまた三人三様の声質なのだが、
集まると絶妙のハーモニーを生み出す。

聴いて
https://www.youtube.com/watch?v=8cuy-bw4PZ8

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