犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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別荘泊まり

2022年03月03日 | 毎月馬鹿
[あらすじ] 25歳の頃。25年あまり前のこと。
静岡県は安倍川上流の梅ヶ島温泉辺り、大谷崩れの登山口へ向かった。
林道の終点にある駐車場に車を停めて、そこで泊まって、明朝、山に登るつもりだ。
分かれ道のところで地図を確認しようとして車を道の脇に寄せたら、
左前輪が段差を落ちて、茶畑にはまってしまった。

通りがかりの車が、県道に在る公衆電話まで往復乗せてくれた。
JAFを待っていると、また通りがかりの車の人が声を掛けてくれた。


一昨日は一日だった。
四月一日だけでは足りないので、毎月一日に法螺を吹いている。
今月は、以上の話までは本当だった。

ーありがとうございます。でもまあそのうちJAFも来るので、大丈夫です。
と断ったのだが、
なんせ、ノリの良い人たちだった。
「こういうのは自分たちで解決するから楽しいんじゃん。」と言う。

これも、後々の私の考え方に強く影響を与えていると思う。

「クレーン車が来て引っ張り上げてハイOKは当たり前だもんね。
おまえ、運転席でハンドル握ってて。」と
奥さんに指示を出す。
三十代の男二人と、二十代の女わたしたち二人とで、車を押す。

どれくらいの時間やったのか記憶に無いが、
車は出た。
成功したのだ。
みんなの力を合わせて危地を脱出した。万歳!
なにこの一体感。
握手。握手。ハイタッチ。

「これからどこに泊まるの?えっ、車?
じゃあ一緒に来ない?
俺たちこれから会社の上司の持ってる別荘に泊まるのよ。」
ーええっ、いいんですか?

別に車で泊まることは苦ではなくむしろ楽しいのだが、
ここは誘いに乗ったら更に楽しそうだ。
幸い、自分たちで楽しもうと思って、酒とつまみはちょっと旨そうなのを買ってある。
ーじゃ、遠慮なく。



小さいながら、別荘地が有った。
その中の一軒に到着。
「ここだここだ。
まずは水栓を開けないとな。」と
上司が書いたらしい図を見るが、暗いこともあってなかなか分からない。

ー道路のここに止め栓が有るから、ここの線上ですよ、たぶん。
「ああこれか。
うわっ、けっこう深いな。
おーい、蛇口ひねってみて!
出ない?
どっちに回すんだ?」
ー反時計回りです。
「水道の検針員さんなの?
おかげで助かったよ。いてくれて良かった。あははは」
なんだか盛り上がる。

知らない夫婦とその友達と、知らない人の別荘で、
酒宴。

車の話や、キャンプ道具の話や、交通違反の話など
呑めば話は盛り上がる。

寝袋を持っているからと言ったけれど、布団を一組貸してくれた。

翌日、山に登ったんだか登らなかったんだか、
まったく記憶に無い。
そもそも朝の記憶が無いな。
「おはようございます」から「ありがとうございました」を憶えていない。
「良かったら連絡先を教えて」とか「一緒に写真を撮りましょう」とか
やらなかったのか?

名古屋の人たちだったっけなあ。
読んでませんか?
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