犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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漢字三千年-漢字の歴史と美-展

2016年12月03日 | よみものみもの
楷書があたりまえと思ってしまっている漢字だが、
その成立は現存する書体の中ではもっとも新しい。
さかのぼると、楷書、行書、草書、隷書、篆書があり、
さらに金文、甲骨文がある。

甲骨文とは、占いの結果を動物の肩甲骨に刻んだものだ。
金文とは、青銅器の内側などに刻んだり象嵌したりした文字だ。
篆書は今もハンコとして遺っているが、別にハンコ専用文字ではなく、
当時の正式な書体だった。

こういった物はふるくから発掘されていたが、
70年代頃に木簡・竹簡・帛書(絹)といった物が発見されて、
考古学・歴史学はもちろん、書に関しても常識が覆された。



漢の時代の石碑に刻まれた文字の拓本を見て、隷書を練習している。
こういう方法を、臨書と言う。
しかしいかんせん、石に刻んだ文字だ。
書いたものとは輪郭も変わるだろうし、
毛筆独特のやわらかさや勢いや抑揚は、
石に鋼の刀で彫ることでは表せない。

隷書の肉筆が見たい。
それも、明や清の時代の作品ではなく、古代の、
隷書が正体であったその時代の書が見たい。

その願いが叶うのが、木簡・竹簡・帛書というわけだ。

写真を印刷した資料は出版されている。
しかし、いまひとつピンとこない。
木簡などは、幅が1cmも無いような細いもので、
そこに細かい字が記されている。

どうも写真では、その表面の感触や、文字の小さい中での筆の勢いなどが
つかみきれない。

実物が見たい。



と思っていた矢先のこの展覧会である。

期待どおりに、甲骨はあるわ、青銅器はたくさんあるわ、
竹簡もいくつもあるし、帛書も見られた。

竹簡は、そんな細い物を紐で繋いで、丸めておく。
簀巻きである。
これも、複製品を触れるように展示してあり、
実感することができた。

私が日頃臨書しているのは、拓本をA4程度のサイズの本に
並べ直したものだ。
展示では、どでかい石碑から取ったどでかい拓本が、
壁一面にドーンと掲げられてある。



展示物の撮影が許されていたので、
あれこれ撮ってきた。
当分、写真から臨書するという練習ができそうだ。

見たかった物が目の前で見られて、
しかも見たいと思ってすぐに見られて、
たいへんタイミングの良い展覧会だった。


東京富士美術館で、明日まで。

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