國光客運 台北車站東側門公車專用道 (台北市中正區)
國光客運(バス)の窓口で台北車站(駅)までの切符を買おうとするが、窓口氏は何やら中国語で話すだけで会話にならない。結局、台北車站の切符は左隣の窓口だと言っていたらしいが、この程度の意思疎通もままならない。先が思いやられる。隣の人から切符を買う。運賃は昨年と変わらず125元。ターミナルの建物から出る。暑くもないし、寒くもないが、湿気を感じる。十万円両替の女性もバス乗り場にやってきた。
別の会社のバスが発車した後、國光のバスがやってきた。運転士が降りてきて、大きな荷物をトランクに入れている。荷物も片付き、運転士に切符を切ってもらい、バスに乗り込む。ここ第二航廈が始発なので具合がいい。桃園機場二航站を23時36分に発車。桃園機場一航站でもトランクに荷物を積み込み、客を乗せる。高速に入ると猛烈なスピードでバスは走り始めた。深夜なので他の車も飛ばしているけれど、あまり乗り心地の良い運転ではない。今回の旅行では海外旅行傷害保険に加入していない。要らないと思ったからだが、これは要るかも。
台北へ向かうバスの中で日付は変わり、民國96年11月25日星期日となった。今宵の宿は予約していない。泊まらないつもりである。台北市内に入り、高速を降りると各所で客が降りてゆく。十万円両替の女性もどこかのホテル近くの停留所で降りていった。そしてバスは終着の台北車站に到着した。
満月と台北車站 (台北市中正區)
バスを降りて、深夜の駅前を歩く。何か大きな音がして振り返る。空港バスから降りたスーツケースを持った若い女性が転倒している。大丈夫ですか?と駆け寄るべきだが、恐らく大丈夫だろうし、中国語が解らないので気付かなかったことにする。ひどい話だ。タクシー運転手が次々と客引きにくるが、首を振って断りながら歩く。上を見上げると満月が見える。
ホテルにも泊まらないで、これからどうするのか。壇ノ浦でも御馴染み、深夜バスに乗るのである。実際は都市間高速バスが24時間運行されているのであって、深夜バスとは違う。数多くのバス会社の乗り入れる國道客運台北總站へ向かう。これが高速バスターミナルである。多くの路線、会社の中、和欣客運の台南行に乗ろうと思う。カウンターの女性に「台南」と言って切符を買う。日本語を混ぜながら対応してくれて大変感じがよい。次の台南行は1時の発車で、台北からの運賃は600元。少し時間があるので、売店で菓子パンとオレンジジュースを買う。
和欣客運 舒適按摩椅
発車時刻が近づき、バスが入ってきた。運転士に切符を見せて乗り込む。窓の側に一人掛けが並ぶだけの贅沢な配置である。座席も豪華である。豪華なバスは知っていたけど、実際に乗ると感動する。バスは台北を出ると三重でも客を乗せて、高速へ入った。空港からのバスと違って、丁寧な運転である。乗り心地は申し分ない。菓子パン(中は南瓜餡?)を食べ、オレンジジュースを飲む。風邪気味なので風邪薬も服用する。前の席の兄ちゃんは売店で売っていた台湾的な匂いのするのものを食っている。座席のリクライニングは電動で操作する。かなり細かく動かすことが可能。あちこちの席から座席を動かすモーター音が聞こえてくる。モニター画面も各席にあり映像も楽しめるようだ。深夜だが見ている人もいる。膝掛けもある。薬も飲んだし、少し寝よう。
途中、高速を降りて客を乗せている。台灣省基隆市と高雄市を結ぶ中山高速公路を走っているが、見た限りでは高速の出入り口に料金所はなく、本線料金所が時々現れるのみである。そしてETCのようなレーンがあり、バスは停車しないで通過してゆく。台北を出たときは半分くらいの乗車率だったが、寝ているうちに席は随分埋まってきている。まあ定員は少ないのだが。西の空には松戸で見て、機上で見て、台北でも見た満月が、まだ沈まずに見えている。「三笠の山に いでし月かも」ではないが、台湾で見る月は松戸にいでし月だった。月はさておき、寝るためには、なるべく長く乗っていたかったのだが、無常にも台北から4時間で台南に着いてしまった。席が良かったからか、乗車時間が短いからか、深夜バスにやられた感は無い。カーテンを閉めてしまわないのがいい。バスから降りようとすると、何人もの男達が話し掛けてくる。何の事か判らなかったが、タクシーの客引きだった。バスの運転士に台南車站はここかと聞いたが、振り向けば見覚えのある台南駅舎が建っていた。 (つづく)
和欣客運 北門總站 (台灣省台南市北區)
臺鐵 縦貫線 台南車站 (台灣省台南市東區)
いずれも民國96年11月25日撮影