12日の金曜日に、上野の東京都美術館に「フェルメール展~光の天災画家とデルフトの巨匠たち」を観に行った。この展覧会は8月に始まったが、この12月14日で終わる。後二日を残すすべり込み鑑賞であった。
相当な混雑(入館一時間半待ちなど)を聞かされていたので、止めようかと思っていたが、一挙に7作品が展示されるというのは世界的にも珍しい催しと思われるので、見ないで後悔することのないよう、思い切って出かけた。早く着いた(といっても10時過ぎだが)おかげで、20分待ちで入館できた。体退館時には50分待ちであったので、早く行ったのは正解であったようだ。
世界各地から集められた「フェルメール7作品」は以下のと
おり。
「マルタとマリアの家のキリスト」(スコットランドより)
「ディアナとニンフたち」 (デン・ハーグより)
「小路」 (アムステルダムより)
「ワイングラスを持つ娘」 (ヴラウンシュバイクより)
「リュートを調弦する女」 (ニューヨークより)
「手紙をかく婦人と召使い」 (アイルランドより)
「ヴァージナルの前に座る若い女」(個人所蔵)
相当な混雑であったが、私はこれら7作品を最前列でじっくり見た。観客は一寸ずりであるが、それに従い、絵が近づくと解説のイヤホーンのスイッチをいれ近づきながら一回聞く、正面に近づくと2回目の解説を聞き、過ぎ去っても一寸ずりであるので3回目のスイッチを入れ振り返りながら解説を聞く。こんなことをしながら一作品3回の解説付きでじっくり見た。
しかし本来は、解説は一回でももっとゆっくり見たいものだ。有吉玉青氏が『恋するフェルメール』のなかで、「フェルメールの絵の前に立つと、近くから観て、遠く離れて観て、また近づいて観たりするので、フェルメールは時間がかかる・・・」というようなことを書いていた。フェルメールの絵は本当にそんな絵だと思う。誰もいないところで独り占めして近づいたり離れたりして観たいものだ。
アムステルダム国立美術館(4作品所蔵)では、それなりに混んではいたがかなりゆっくり観た。それよりも独り占めしたのは、昨年9月フランクフルトのシュテーデル美術館で「地理学者」を観たときである。雨の日の夕方であったこともあってか、ほとんど人影はなく、絵の前に一人立ち尽くし、近く遠く、斜めの角度と十数分眺めていた。その間、ほんの数人の人が私の周囲を通り過ぎただけであった。
それに比べると今回は混雑の中であった。他にデ・ホーホなど良い絵がたくさんあるにもかかわらず二時間の約半分をフェルメール7作品に費やしたので、「混雑・・・一寸ずり」の効果と言うべきか、今年の見納めとしては十分なものであった。