正月三日、重い腰を挙げてワイフと娘夫婦と4人で初詣に出かけた。出かけたといってもほんのお隣の府中までで、昼前家を出て昼食にそばでも食べようというのがねらいだ。
娘の調べによれば、大国魂神社のそばに“ほてい屋”という蕎麦屋があり、そこには「十四代」はじめいい酒が置いてあるというのだ。酒で私の関心を引こうという魂胆らしい。
まず府中駅のそばの「たこ焼き屋」で待ち合わせることになり、店に着くと有名な店らしく客が長蛇の列だ。ついでに並んだのはいいが、列は遅々として進まず30分待ってようやくたこ焼きを購入、「熱い、熱い」と頬ばりながら神社に向かう。
山門に着くとこれまた長蛇の列・・・。ここでまた30分はたっぷり待って、ようやく神殿にたどり着き今年の幸を願った。これほどの不況となれば、「頼るのは唯一神のみ」ということか、大変な人出である。
人ごみを避けるように神社の裏手に回ると、そこに松尾神社があった。松尾神社と言えば大山唯命(おおやまくいのみこと)を祀る酒の神様だ。残念ながらこちらは人もまばらでひっそりしている。しかし私にとっては重要な神様だ。国酒の復権――純米酒の普及を願って入念にお参り申し上げた。
そのあと、目指す“ほてい屋”は休みであったが、駅そばの“三松本店”という日本料理屋で、新潟の「越乃かぎろい」純米酒の燗酒などで、大満足の食事をとった。料理も美味しく、酒を飲まないワイフからも「実に良い店」という評価を受けた。松尾神社のご利益ということにしておこう。
こうして正月も終わり、5日から仕事をはじめ、今日は早くも7日・・・
家に帰ると“七草粥(ななくさがゆ)”が待っていた。私は七草の正確な名前も知らない。しかし、めぐり来る時節の食事を必ず食卓に揃えてくれる妻の心遣いがうれしい。こうして、今年もまた生きていくのだ。