今日は暦の上で大寒である。
冬至を過ぎ、小寒を経て大寒に至る。日々寒さを増す時節、まさに向寒の候である。㈱アイティ-ビ-の『言の葉草(ことのはぐさ)』によれば、大寒のことを「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と記してある。
昨日の東京は暖かく、4月なみの陽気であったが、今日は平年どおりに戻り、明日からまた寒くなると言う。毎年の経験からしても、大寒から2月の上旬ぐらいまでが一番寒いように思える。テレビもしきりに寒さに気をつけ、風邪とくにインフルエンザに注意せよと警告している。
さてこの季節の酒はなんと言っても燗酒である。特に鍋をつつきながらほどよい温度の燗酒を飲みたい。それも山廃純米、生もと純米の燗酒がいい。
そういうと、すぐ頭に浮かぶのが「田酒山廃純米」(青森)と「大七生もと」(福島)だ。なかでも田酒は、燗酒人気で長く断トツトップを誇っている。吟醸や本醸造ではいろんな酒が上位を争うが、純米酒となると田酒が出てくる。特に燗酒の部では断然強い。なにか言い知れぬ特別な強みを持っているとしか言いようがない。私も最後に田酒の燗酒を飲みたいだけの理由で、それを置いてある飲み屋に行くことが度々ある。
田酒の由来は、田は米を作る田んぼのことであり、いわゆる米を意味し、米の酒と言う意味だと蔵元西田酒造店のホームページにも書いてある。米の酒--日本酒そのものだ。日本酒特有の飲み方である燗酒に合うはずだ。日本酒度プラス2~3くらいでほど良い甘さを保ち、酸度1.6の酸味もいい。こだわり続けている地元米「華吹雪」の味が燗に生きる。
さてそれと食べる「鍋料理」は何か・・・。日本に鍋料理はどのくらいいあるのだろう。どこに行っても鍋料理はある。石狩鍋、きりたんぽ鍋、牡蠣鍋、ちゃんこ鍋、寄せ鍋・・・とキリがない。
どれも美味しいが、酒の相手、特に造りのしっかりした山廃純米の燗酒の相手は、あまりごちゃごちゃしない「湯豆腐」がいい。豆腐と少々の青菜に鱈(たら)の切り身一切れだけ。香味はわが故郷の「かぼす」、それをつつきながら42度ぐらいに燗をした田酒山廃純米をゆっくり飲みたい。
大寒の酒はこれに限る。