食べ物で大分県の名産と言えばシイタケやカボス、魚では関アジ、関サバに城下カレイなど。しかし何と言っても臼杵のふぐであろう。そのポイントは“きも”にある。
ふぐの毒はきもに集中する。したがって一般にはきもを食べることを禁じているが、臼杵はこれを大目に見ている。この旅の初日、臼杵の街を散策したあとわが実家で、この『臼杵のふぐ』を満喫した。
まず山盛りに出てくるきもを小どんぶりに取り、カボス醤油でドロドロに溶く。それに「ふぐ刺し」(関西では“てっさ”と呼ぶ)の白身をたっぷりまぶして食べる。ふぐといっても白身自体はたいして美味しいとは思わない。むしろヒラメやカワハギの方が美味しいかもしれない。しかしこのカボス醤油で溶かしたきもにまぶして食べるからおいしいのだ。
ふぐ刺しときも
次に出てくるのが「ふぐチリ」(関西では“てっちり”という)だ。骨付きのふぐの実がたっぷり入っている。それから「ふぐのから揚げ」が出て、最後の「ふぐ雑炊」と続く。酒もまわり満腹となるが、不思議にこれがすべて食べられるのである。
酒はもちろん臼杵の銘酒一ノ井手『慶』。何度も金賞を受賞した大吟醸酒である。これはみんなに喜んでもらった。加えて一ノ井手『特別純米酒』の「ふぐのひれ酒」。ひれ酒には一般にはいい酒は使わないが、大サービスで特別純米酒のひれ酒としゃれこんだ。
いやー、美味しかった!
もちろん大分の食はふぐだけではない。翌日阿蘇に向かう途中立ち寄った道の駅で、野菜や果物の安くて美味しいのに歓声を上げ、それぞれかなり買い込んだことを、他の食品の名誉のために書き添えておく。