アジア大会男子マラソンは、松村銀、川内銅メダルの結果に終わった。バーレーンの選手が優勝したが、世界的レベルから見てどのくらいの水準なのか分からないので、日本選手の成績を喜んでいいのかどうかも分からない。2時間12分台の記録だから、それほど高水準のものではないのであろう。
それはともかく、42キロを2時間以上かけて走って、1秒差というのは差たりうるのか? 川内は松村に遅れること3秒差、トップとも4秒差だ。これまた2時間12分からすれば誤差範囲内の差ではないのか?
しかしそれが、金と銀と銅メダルの差となる。スポーツとは厳しい世界だ。最後の1秒を争って、それまでの42キロは何だったのか?、と言いたくなる。42キロは省略して、最後の2,30メートルだけを争えばよかったのではないかとさえ言いたくなる。
しかし、その1秒や4秒は決定的なのである。川内は完敗を認めた。一時は10秒(数十メートル)ほど離されながら最後は優勝を争うところまで追い上げて敗れた川内は、「余力を残せなくて……、弱いな…」とショックを隠さなかった。
しかも、来年の世界選手権には出ないで、「一度選考レースから離れて自分自身を磨きたい」とまで言っている。この4秒差はかくも決定的なものであったのだ。
スポーツの世界における1秒や1ミリは普通人には想像もできない大きな壁なのであろう。