ノーベル物理学賞受賞の3氏の様々な発言がマスコミを賑わしている。いずれも教訓に満ちているが、中でも毎日新聞のインタビューに答えた赤崎勇教授の発言が心に響いた。氏は、科学技術が人類に果たす貢献について次のように言っている。
「科学は使い方によっては刃物にもなるし、薬にもなる。使う人間の英知が問われる」
「LEDは悪魔的に使おうと思ってもそういう使われ方は、一般的にはできない技術」
85歳の老教授は、1980年代に自らが研究開発したLEDが、想像以上の速さで普及、使用されていることに目を細め、「平和的な技術」と胸を張ったという(9日付毎日新聞一面)。
正にLEDは、21世紀の光として世界を照らし続けるであろう。
それに比し、「平和的利用」の鳴り物入りで使用されてきた原発核燃料の恐怖を憂う。先日、三菱総研の講演会で中谷巌氏の話を聞いたが、氏はその中で、「これからの人類の不安要因、特に日本の先行き」に触れて次の4課題を提起した。
1.過剰資金問題。過剰マネー、じゃぶじゃぶマネーの処理
2.放射性物質の処理問題
3.地球温暖化問題
4.人口問題。特に日本の急激な減少と老人問題
いずれも大変に重い課題である。しかし私は、1、3、4の課題については究極的には楽観的である。マネー問題も人口問題も人間は英知を絞って解決していくのではないか? 温暖化は困ったものだが冷凍化するよりいいだろう。
ただ核燃料の処理だけは悲観的である。人類は処理方法を知らぬままに使用をつづけたのである。赤崎氏の言う「科学が刃物になった」典型であろう。正に人類は「英知が問われている」のである。