実用的な青色発光ダイオード(LED)の開発で、日本の物理学者3氏がノーベル賞を受賞した。赤崎勇名城大教授(85歳)と天野浩名古屋大教授はその開発の面で、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授はその実用化が評価され、3人同時の受賞となったようだ。
トーマス・エディソンの白熱電球の開発・実用化により世界は日常生活に光を得たが、それから百数十年、人類は「白色電球よりはるかに消費電力が少なく、耐久性も高く、また環境破壊を及ぼすことの少ない白色照明」を得ることができたのである。
正に光の革命であり、電球だけでなくあらゆる電気機器のディスプレーや交通信号など広く生活分野に使用されてきている。世界の白色照明は、すべてLEDに切り替わっていくだろう。その先鞭を日本人がつけたことを誇らしく思う。しかも、一昨年の山中教授の研究結果と同様に、日常生活に直結した恵みを与えてくれたことをうれしく思う。
それにしても、その研究態度、すさまじい探究心には頭が下がる。青色ダイオードの開発は不可能と、多くの研究者が次々とやめていく中で、ひたすら続けた研究の結果であったようだ。赤崎教授は、「ひとり荒野を行く感じだった」、「やめていく人もいたが、ちっともそういうことは考えなかった。ただ自分がやりたいことをやってきた」と述懐している。また天野教授は「実験で3000回は失敗した」と振り返っている。それでも諦めなかったのだ。
ノーベル賞という賞が、単なる天才とか幸運とかによって与えられるものでないことだけは確かなようだ。