10年ぶりぐらいの再会で、M氏と酌み交わした。昨年暮れから再会を約したのであるが、後期高齢者の二人、はたして「相手は酒が飲めるか?」を心配しながらの待ち合わせであった。
私の脳梗塞を相手は知っているし、M氏も様々な病気を内包している、…いわく糖尿病、前立線ガンなどなど。しかしいずれも担当医の診断は「あなたの病気とアルコ-ルの直接的関係はない」というもので、「むしろ「酒も飲めないのか…というストレスの方が悪い」というものであった。二人とも、「酒を飲まない方が病状を悪化させる」という判断により、毎日飲んでいることが判明した。大いに気をよくした二人が、昼であるにもかかわらず、酌み交わしたことは当然である。私は「獺祭」2合と「大七」1合(実質敵には合わせて2合5勺弱ではないか?)、M氏は酒を少しと焼酎を4杯ばかり飲んだ。氏は毎晩焼酎を2~3合飲んでいるというから相当なものである。
76歳と74歳の二人が、それぞれ年相応の病気を持っておるが、酒を少々控えるかどうかによって余命に差が出ることは恐らくないであろう。(つまり、酒を全く絶ったとしても時が来れば死ぬだろうし、ここまでくれば、飲むことによる余命の差はないだろうということ) しかし、とはいえ自分勝手な解釈により羽目を外すことが良いはずはない。二人は、かなり限界まで挑みはしたが羽目は外していない、という確信を抱いて、再会を約し、気持ちよく握手を交わして別れた。