パリと並んでベニス(ヴェネツィア)ほどフォトグラファーを魅了する都市はないだろう。ベニスの街をテーマに、エルンスト・ハースや木村伊兵衛が数多くの傑作を残しているし、奈良原一高氏は夜のベニスを撮影した写真集を出している。
数あるベニスの名所でも、やはり一番はサンマルコ寺院だと思う。広場の真ん中から眺めるとその規模の大きさや建築様式の特異さを堪能することができる。映画「旅情」でキャサリー・ヘップバーンがレナート・デ・ロッシとデートを重ねたサンマルコ広場。今も変りはない。広場に並べられた白いテーブルと椅子が観光客たちを魅了する。
そんなサンマルコ広場にあるカッフェ・フローリアン (Caffè Florian) は、1720年12月29日の創業より、300年近く歴史を刻むカフェだ。ベニスに現存する最も古い喫茶店で、カフェ・ラテの発祥店として有名。
フローリアンは、かのジャコモ・カサノヴァの女性あさりの場所でもあった。
コーヒーは17世紀初めに中東からベニスに持ち込まれ、ヨーロッパに広まった。
カッフェ・フローリアンは開店当初から優雅なカフェとして上流階級の人気を集め、バイロン、ゲーテ、マダム・ドゥ・スタール、チャールズ・ディケンズ、プルースト、アンリ・ルソー、アルトゥール・ルービンシュタイン、イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー、アメデオ・クレメンテ・モディリアーニ、バルザックなど偉大な芸術家たちが常連に。
カフェは上流階級の人たちの社交の場だったのだ。
やがて、カフェは人々の生活に欠かせないものとなり、職種や好みによって行きつけのカフェができ、グループごとのたまり場となった。そして賭事が行われたり、逢い引きの場所として娼婦が出入りするようになる。このため、18世紀中頃には女性の出入りが禁止された時代もあったようだ。
さて、女性をあさりに行った・・・じゃなくて、お茶しに行ったフローリアン。いかにも歴史を感じさせる風格が漂っていた。
白い背広姿の初老のカメリエーレが応対するが、愛想がいいわけではない。通された部屋(東洋間)には、数組の日本人のカップルたちがまったりと、幸せの世界に浸っていた。
・・・残念ながら、女性あさりどころか、社交の場ですらなさそうだ。んで、一人さみしくお茶。
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