司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

黒皮の手帳

2004-12-10 16:00:00 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 昨日の黒皮の手帳(最終回)を見逃してしまった。もとより飛び飛びでしか観ていないので詳細を語ることはできないが、このドラマでは不動産の売買に絡んで司法書士(偽?)が数回登場する。前回は、予備校経営者を脅して料亭を手中に収めたかに見えた瞬間、所有権抹消で前所有者に登記名義が戻され、入手できずに転がり落ちる端緒となる現場に登場したのが司法書士(偽?)であった。また、最終回では「ロダン」を再び手に入れた際にもきっと登場しているはず。しかし、一般の方にはほとんど認識されていないであろう。不動産登記実務に関する考証も全般に甘い。もっと颯爽と格好よく登場し、イメージアップに繋がるようなドラマや映画はないものか。

 司法書士の目から見ると、そういう重要な契約においては司法書士だからといって「相手方」の指定の者を信用してはいけないのである。権利を受ける者は、必ず「こちら側」の司法書士を立てるべきである。初歩的な手口にひっかかったとしかいいようがないが、それもドラマ故か。
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民法の改正(改悪?)

2004-12-10 00:00:00 | 消費者問題
 「民法の一部を改正する法律」(法律第147号)が11月25日成立し、12月1日公布された。
cf. 「民法の一部を改正する法律」の概要

 あまり表立って議論されていないのであるが、今回の改正には、現代語化、保証制度の見直しのほかに、法務省曰く「判例、通説上定着している点を取り入れた」点がある。しかし、有力な反対説がある点も多く、学者の間では鋭い批判の声も上がっている。例えば、民法第108条などもその一例である。

(改正前)
第108条  何人ト雖モ同一ノ法律行為ニ付キ其相手方ノ代理人ト為リ又ハ当事者双方ノ代理人ト為ルコトヲ得ス但債務ノ履行ニ付テハ此限ニ在ラス

(改正後)
第108条  同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りではない。

 上記のように、「本人があらかじめ許諾した行為」が明文に取り込まれたことは重大問題である。利益侵害の危険が大きいために禁止されている自己契約及び双方代理に関する規定が骨抜きになってしまい、たとえば、消費者金融等で問題視されている「公正証書作成の委任状」等もまったく適法となってしまうのである。実務の運用でカバーしなければならないであろうが、このように特に消費者契約に禍根を残す「改悪」ともいえるのではないか。
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