堤義明氏の居宅、38年間未登記 相続税対策か (朝日新聞) - goo ニュース
不動産登記には物理的現況に関する表示登記と権利に関する登記の二種類があるが、本件で問題となっているのは表示登記の方である。
現行不動産登記法
第93条第1項 建物ヲ新築シタルトキハ所有者ハ一个月内ニ建物ノ表示ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス
第159条ノ2 第八十条第一項若クハ第三項、第八十一条第一項若クハ第三項、第八十一条ノ八第一項、第九十三条第一項若クハ第三項、第九十三条ノ四ノ二第一項、第二項若クハ第五項、第九十三条ノ五第一項若クハ第三項又ハ第九十三条ノ十一ノ規定ニ依ル申請ヲ為スベキ義務アル者其申請ヲ怠リタルトキハ十万円以下ノ過料ニ処ス
cf. 改正不動産登記法第47条第1項、同第136条
上記のとおり建物を新築したときは、1か月以内に表示登記を申請する義務がある(保存登記の義務はない。)とされている。しかし、融資絡みで担保権設定の必要があるときは前提として権利に関する保存登記を行う必要があるので、表示登記も当然なされるが、そういった事情がなければ、保存登記はおろか表示登記すらなされないことが多い。数十年立ってから表示、保存登記を経ることがあるが、過料が科されることは現実にはないようだ。固定資産税は、表示登記の有無に関わらず、現況に基づいて課税されている。したがって、やや騒ぎ過ぎの感。
ちなみに、JR京都駅ビルは表示登記はなされているが、保存登記はなされていない。法律上の義務は遵守したが、不要不急の保存登記は登録免許税(数億円規模)を節約する意味もあって行わなかったもの。同駅前地下街ポルタも登記の対象ということで登記されている。