司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「嫡出推定制度を中心とした親子法制の在り方に関する研究会」がスタート

2018-10-20 09:14:37 | 民法改正
時事通信記事
https://news.nifty.com/article/domestic/jiji/12145-108349/

 10月18日に初会合が開催されたそうである。

「初会合では嫡出推定制度の見直しを議論。月1回のペースで開催し、生殖補助医療で産まれたケースの親子関係明確化についても検討する。」(上掲記事)

「離婚後の共同親権制度の見直し」も併せてであろう。

cf. 平成30年10月2日付け「生殖補助医療関連親子法制で,民法の見直し」
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医療法人の社員総会における「委任状による出席者」は,「出席者」にカウントされない?

2018-10-20 02:53:53 | 法人制度
兵庫県HP
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf15/hw11_000000111.html

 上記HPの「医療法人に関する申請・届出」の「2 よくある申請・届出 (1)医療法人の定款変更認可申請」の項の「社員総会議事録例」に次のとおりの注記がある。

「委任状提出者は、議決権はありますが、出席者数としては数えられません。」

???

 医療法人の社員は,原則として(定款に別段の定めがなければ),代理人によってその議決権を行使することができる(医療法第46条の3の3第5項本文)。

 このような場合,例えば,会社法や一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の実務においては,定足数の充足の算定において「出席者」にカウントされるし,決議要件の充足の算定において「出席者」にカウントされる取扱いである。

 医療法と同じ規定ぶりである特定非営利活動促進法第14条の7第2項に関する取扱いも同様である。

 しかし,兵庫県HPでは,「議決権はあるが,出席者数としてカウントされない」という不可解な解説をしている。

 情報提供者によれば,厚生労働省のお墨付きがあるらしい。

 医療法人の社員総会の運営の在り方として,「社員の本人出席が望ましい」という考え方は理解することもできるが,代理人による議決権の行使を許容しながら,出席者数としてカウントしないというのは,背理である。

 然るべき是正が望まれる。


医療法
第46条の3の3 社員は、各一個の議決権を有する。
2 社員総会は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の過半数の出席がなければ、その議事を開き、決議をすることができない。
3 社員総会の議事は、この法律又は定款に別段の定めがある場合を除き、出席者の議決権の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 前項の場合において、議長は、社員として議決に加わることができない。
5 社員総会に出席しない社員は、書面で、又は代理人によつて議決をすることができる。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
6 社員総会の決議について特別の利害関係を有する社員は、議決に加わることができない。
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無償による相続分の譲渡は,譲渡をした者の相続において特別受益に該当する(最高裁判決)

2018-10-20 02:13:22 | 民法改正
最高裁平成30年10月19日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88060

【判示事項】
共同相続人間でされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をした者の相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たる


 亡Aは,亡Bの遺産についての遺産分割調停手続において,遺産分割が未了の間に,被上告人に対し,相続分を譲渡し,同手続から脱退すると共に,亡Aは,その有する全財産を被上告人に相続させる旨の公正証書遺言をし,その後,亡Bの遺産につき,遺産分割調停が成立したという事案である。

「共同相続人間で相続分の譲渡がされたときは,積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し,相続分の譲渡に伴って個々の相続財産についての共有持分の移転も生ずるものと解される。
 そして,相続分の譲渡を受けた共同相続人は,従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割手続等に加わり,当該遺産分割手続等において,他の共同相続人に対し,従前から有していた相続分と上記譲渡に係る相続分との合計に相当する価額の相続財産の分配を求めることができることとなる。
 このように,相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転するものということができる。遺産の分割が相続開始の時に遡ってその効力を生ずる(民法909条本文)とされていることは,以上のように解することの妨げとなるものではない。」

cf. 毎日新聞記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181019-00000112-mai-soci
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