旧登記法(明治19年法律第1号)の時代に,売買等の登記が義務化されていたこともあったようだ。徴税の観点からのようであるが。
「登記法に対する国民の反発に対し、政府は、法施行後わずか五か月で登記法の改正(明治20年法律1号)を余儀なくされた。このとき最も大きな改正は、従来登記が任意の制度であったのを、これ以降売買・譲与・質入・書入の場合には必ず登記をしなければならないとした点であった。しかし、この命令規定にはなんら罰則を伴わないだけでなく、登記の効力に関しては第三者対抗要件であることに変更がなかったので、この改正は主旨貫徹していないと言われている。ただし、我が国においても、不動産登記が強制されていたことがあったという事実は銘記すべきであろう。」(後掲福田83頁)
「明治29(1896)年に登録税法が制定されるまでは、別途大蔵大臣が定める(登記法39条)手数料を徴していた。ただし、大蔵省令には一定の期間内に手続をしない者には科料を課すことが定められており、この手数料は、単なる手数料ではなく租税的機能を有していたことに注意すべきである(塚田 p572)。」(後掲福田99頁。注32)
cf.
平成30年1月19日付け「福田充孝「我が国の不動産登記制度の沿革について-所有者不明土地問題資料-」」
登記法中改正ノ件(明治20年法律第1号)
https://ja.wikisource.org/wiki/%E7%99%BB%E8%A8%98%E6%B3%95%E4%B8%AD%E6%94%B9%E6%AD%A3%E3%83%8E%E4%BB%B6