司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「配偶者居住権が設定された時」の意義(続)

2020-03-20 10:38:14 | 民法改正
相続税法基本通達の一部改正について(法令解釈通達)のあらまし(情報)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/r0202/index.htm

 (説明)
 民法第1028条((配偶者居住権))では、被相続人の配偶者が被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、
 ① 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき
 ② 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき
には、配偶者居住権を取得すると規定されているが、遺産の分割により配偶者居住権が設定される場合には、配偶者居住権の効力が生じるのは相続開始の時よりも後の時点であり、その時点を起算点として配偶者居住権の「存続年数」が定まると考えられることから、居住建物の「経過年数」についても、相続開始の時ではなく、「配偶者居住権が設定された時」までの年数で計算することとされている(相法 23 の2①二イ、相令5の8③)。

 この「配偶者居住権が設定された時」については、それぞれ次に掲げる時によることとなる。

(1)遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき(民法1028①一)
   遺産の分割が行われた時
(2)配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき(民法1028①二)
   相続開始の時

 本通達では、このことを留意的に明らかにした。
 なお、遺産の分割が複数回に渡って行われることも考えられるが、そのような場合における「遺産の分割が行われた時」とは、配偶者居住権の設定に係る遺産の分割が行われた時となる。

○ 財務省ホームページ「令和元年度税制改正の解説」499頁(抄)
 遺産分割の協議又は審判により配偶者居住権が設定される場合には、配偶者居住権の効力が生じるのは相続開始時よりも後の時点であり、その時点を起算点として配偶者居住権の存続年数が定まると考えられることから、居住建物の経過年数についても、相続開始時ではなく、配偶者居住権の設定時までの年数でカウントすることとされています。
※ 引用おわり

cf. 令和2年2月27日付け「配偶者居住権が設定された時」の意義


 民法的には,第909条により,相続開始の時から配偶者居住権を取得するものと解されるが・・。

 民法が「遺産分割」に絡めているので,整合性がとれなくなっているが,配偶者居住権に関して「相続人全員の合意」で設定していると考えれば,国税庁の考え方は,筋が通っているともいえる。

 遺産分割協議が成立するまでの間は,配偶者短期居住権(民法第1037条第1項第1号)でカバーされるといえば,そうである。

 法律的には「相続開始の時から」,税務上は「遺産分割の時から」というダブル・スタンダードというわけにも行かないであろう。

 というわけで,遺産分割による配偶者居住権の設定の時は,「遺産分割の時」ということになろうか。
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「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う法務省関係政令の整備に関する政令」が閣議決定

2020-03-20 09:57:53 | 民法改正
 昨日(3月19日),「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う法務省関係政令の整備に関する政令」が閣議決定されている。

 不動産登記令の改正は,配偶者居住権の登記に関するものである。

 ということで,来週(3月25日頃)に公布される見込みである。

cf. 令和2年2月14日付け「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う法務省関係政令の整備に関する政令案」
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「Q&A実務 令和元年改正会社法で変わること」

2020-03-20 09:15:56 | 会社法(改正商法等)
Q&A実務 令和元年改正会社法で変わること by KPMG
https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2020/03/qa-companies-act-20200304.html

 Q&Aで,ポイントがまとめられている。

 執筆者の和久友子氏は,会社法施行当時,法務省民事局調査員を務めておられた方である。
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