おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

債務引受のこと 第三者のためにする契約

2024-01-18 | マンション管理関連試験等サポート   

 

 

学習のお手伝いをする場合 民法については 質問事項を ホボ決めて

学習度を確かめさせていただき そこから判断させていただいて 当職

との資格を得るための学びをスタートするのを通例とさせていただいて

います

 

モットモ 受験学習を初めの一歩から開始の方とは 基本書・条文の

読み込みあたりからコツコツと知識を蓄えますが

 

次年度が 5度目の マンション管理士挑戦 という方に
〔第三者のためにする契約〕というのは どのような契約ですか ?
それは 民法の条文では どのあたりに登場しますか 
400条 500条 600条 700条 のどれに一番近いですか ?

〔債務の引受け〕のことの条文は 改正前にもありましたか ?
あるとすると どのあたりに あったか あるいはありますか ?
400条 500条 600条 700条 のどれに一番近いですか ?

とお訊ねすると
『自分の受験基本書には 〔第三者のためにする契約〕などというもの
はゼンゼン登場しませんよ 〔債務の引受〕のことも極くアッサリとは
記述がありますが・・・』とか その類の返答があったりします
が 民法学習の基本書 と マンション管理士受験基本書とは 当然?
記述の深さも広さも異なりますでしょう
受験全科目についての ポイント集のような受験基本書と 民法単独の
基本書といえるものとは 当然のことながら? 著述の深さも広さも違
うのは もっともなことです

マンション管理士試験でいうと 学習の柱は 【民法・区分所有法・標準
管理規約】
一点差で決まる場面の合否の境目は おおよそ 民法の習熟度の差であろ
う と 自身には思えます
イマサラですが 標準管理規約は区分所有法に基づいて存在し その区分
所有法は民法の特別法 です

民法は どうみても 法律系国家試験の雄です(合格後の 実務において
も 一番頼りになる知識です そこが弱くては実務の世界でも苦労します
記している自身 民法を追いかけながらの実務業務との付き合いの連続の
日々です)  

 

意地悪で 条文の登場位置を訊ねたりしているわけでは モチロン あり
ません

民法の全体を眺めたことがあるのだろうか ? ということを一応知りた
く思い 参考までに訊ねさせていただいたりすることもあるのです
全体の構造を知るということは どの範囲の学習においても タイセツな
ことであり 理解の手助けにもなると思うのです

 

 

マンション管理士試験において民法は特に (区分所有法も同様ですが) 

われることの深さ・広さが 増すばかり という印象をもっています

一点勝負の その一点は 民法出題範囲の問題では と 自身は理解し

ています

 

第三者のためにする契約とは
契約から生じる権利を第三者に直接帰属させる契約のことですが 例えば
自己の所有物であるマンション専有部の売主Aが 買主Bと売買契約を為
したとして 売却代金の請求権を契約当事者外の第三者Cに直接帰属させ
るというような契約です〈 A自身がBから代金支払債務の履行を受けて
それを自身がCに渡せば同じことだろう と 思われるかもしれませんが
法律的な解釈においては その差異が大きいことなのです
C自身が 直接権利を得る つまりBはCとの間で債務を負うということ
なので 

上の例で言うと Aを要約者・Bを諾約者・Cを受益者 と呼び 
・AとBとの契約締結の時点で Cが現存していない・特定されていない
 場合の契約は有効なのか
・Cの権利は どの時点で発生するのか
・Cの権利が発生したが その後Aが契約を解除するにはCの同意は不要
 か必要か

などのことが 論点となります

でも まずは 条文にて解決されることが ホトンドです



(第三者のためにする契約)
第五百三十七条 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約した
ときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する
2 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していな
い場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
3 第一項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の
利益を享受する意思を表示した時に発生する。
      ※ 権利を得るとはいっても その第三者の意思を無視するわけにはいかない
        ので享受の意思を必要としている

(第三者の権利の確定)
第五百三十八条 前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、
又は消滅させることができない。
2 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履
行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を
解除することができない

(債務者の抗弁)
第五百三十九条 債務者は、第五百三十七条第一項の契約に基づく抗弁をもって、その契約
の利益を受ける第三者に対抗することができる。




新債務者が債務を代わって引き受け それまでの債務者は債務を負わなくなるとするために
は 債権者の同意が必要(任をれる ということで 免責的債務引受)

併存的(債務者と債務引受人との債務が併存する)債務引受は 債務を負う者が増えるので
債権者が有利になるだけなので 債務者と債務引受人との合意でもできる
〈 債権者は債務引受人と契約当事者ではないのに 自分の関与がないにもかかわらず債務
者と債務引受人との契約に基づいて債務引受人にも債務を引受けてもらえることになるので 
第三者(ここでは債権者)のためにする契約の一種といえる 〉

《債務引受》のことは 改正により 規定が 新 設 されました



第五節 債務の引受け
第一款 併存的債務引受
(併存的債務引受の要件及び効果)
第四百七十条 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する
債務と同一の内容の債務を負担する
2 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
3 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合
において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ず
る。
4 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。

(併存的債務引受における引受人の抗弁等)
第四百七十一条 引受人は、併存的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じ
た時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、これらの権利の行使に
よって債務者がその債務を免れるべき限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができ
る。

第二款 免責的債務引受
(免責的債務引受の要件及び効果)
第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の
債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合に
おいて、免責的債務引受は、債権者債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力
を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者引受人となる者に対して
をすることによってもすることができる。

(免責的債務引受における引受人の抗弁等)
第四百七十二条の二 引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が
生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなけ
ればこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に
対して債務の履行を拒むことができる。

(免責的債務引受における引受人の求償権)
第四百七十二条の三 免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しない

(免責的債務引受による担保の移転)
第四百七十二条の四 債権者は、第四百七十二条第一項の規定により債務者が免れる債務の担保と
して設定された担保権を引受人が負担する債務に移すことができる。ただし、引受人以外の者がこ
れを設定した場合には、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による担保権の移転は、あらかじめ又は同時に引受人に対してする意思表示によっ
てしなければならない。
3 前二項の規定は、第四百七十二条第一項の規定により債務者が免れる債務の保証をした者があ
るときについて準用する。
4 前項の場合において、同項において準用する第一項の承諾は、書面でしなければ、その効力を
生じない。
5 前項の承諾がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その承諾は、書面によっ
てされたものとみなして、同項の規定を適用する。

       ※ [履行の引受] は 《債務の引受》 とは異なることです

 

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